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8月第2週の相場展望

2020-08-11

ドル買戻しが一服し、先週は全般対ドル通貨が上昇している。ドル円は106円半ばまで上昇した後息切れし105円台で推移しています。その結果、クロス円全般の上昇ということでややリスクオンの相場が見て取れます。背景には、各国の経済指標が大幅悪化の予想を大きく下回らなくなったことや、新型コロナウイルスの第一次感染期の結果を企業決算で織り込んでおり、二次感染の最中でも消費活動が戻ってきていることが大きい。感染とのトレードオフの中でも、なんとか経済活動が戻っていることが優勢と市場関係者は考えているようです。ただ先行きの不透明さは変わらないことで、世界的なマネタリーベースの拡大でお金の価値は下がり、逆に対ドルで金や銀、またビットコインの上昇が揃い踏みとなっています。

  そのビットコインですが、今年に入ってから米国長期金利と逆の動きが顕著であり、ほぼ金価格と連動しています。 世界的な金余りからほぼ全てのアセットにお金が流れており、ビットコイン等の仮想通貨もそれらの投資先の一つとなっている様子。先週末には12,000ドル達成後にポジション調整で短期のロング勢も一緒に投げさせられながら10,500ドル付近まで下落。その後ほぼ下落分を取り戻すようにじりじりと上昇が継続しており、アルトコイン含めて暗号資産相場全体の底堅い展開が続いています。仮想通貨の中では、イーサリアムの上昇が大きく、「イーサリアム2.0」という商品のアップグレード機能を拡大させるものに移行するため期待度が大きく、仮想通貨相場の上昇をリードしています。 テクニカル面からみていくと、BTCUSD(ビットコイン・ドル)では、2017年終盤の高値19891ドルから下落した際の安値3200ドル台前半までの半値戻し11580ドルを達成し、そのレベルをしっかり上抜けした形となっており、次のターゲットは、昨年の高値である13858ドルとなりそうです。米国長期債が買われ、金利が下がっている間は商品相場と共に全般堅調でしょう。ただ一方的な上昇というわけでなく対ドルの金融商品に買いがほぼ行き届いているため、これ以上買うものが見当たらず、マネーの循環性という特徴から、買われている商品の中で過熱感が出ている個別のものの中で調整が入るものがでてくると思われます。過熱感のあるものは、流動性が小さな商品となると思われ、コモディティーや穀物商品、またビットコインなど、短期であるが大きな調整には気を付けていきたい。

米国の経済指標で、ISM製造業、ISM非製造業、雇用統計というメインの指標がそれぞれ予想を上回ったことで株価は堅調に推移しました。中身をみるとハイテク株中心のナスダックに利食いが入り、ダウ平均に買いが集まった格好となって7日続伸となりました。その流れを受けて世界各国の株価も連動し、昔ながらの大企業が中心であるバリュー株に買いが移っています。日本ではトヨタを中心に中国国内での日本車の自動車販売が伸びており、日本の株価に安心感をもたらしている。日経225銘柄は製造業が多くを占めていることで、自動車関連株へ出遅れ物色の可能性があり、その後買いの裾野が広がっていくと考えています。

  また世界の製造業経済指標から持ち直しの兆しが見て取れ、世界の製造業PMI平均指数からは、好不況の分かれ目である50に乗せています。今年4月には40割れもあっただけに、この数値は投資家に安心感を与えるものでしょう。また7月の指標から、非製造業の指数改善が多くみられるようになっています。今週、株価は個別循環物色ながらも全般的な平均株価のインデックスは堅調推移を保ち、過熱感のある商品相場に利食いが入るタイミングが到来するのではないかと予想しています。

  為替では、ユーロドルのチャートが気になる形となっています。先月のレポートで長期トレンドラインの話をしましたが(https://www.prc-brokers.com/?jpnews=jpnews-933)、直近ではそのラインを挟んでの高値もみ合いとなっています。7月末からの日足形状からみると、8月3日の1.1695安値を下回ると、短期的なダブルトップが完成するため買い方の利食いが増えることが考えられ、上昇からの調整がやや長引く可能性がでてきました。ダブルトップ完成後は、ストップの売り指値を巻き込んで1.16割れ程度までは見ておく必要がありそうです。

(今週の注目されるイベント)
11日(火) ドイツ ZEW景況指数
12日(水) ユーロ圏 鉱工業生産
                      米国 財政収支
13日(木) オーストラリア 雇用統計
14日(金) 中国 小売売上高、鉱工業生産
                      米国 小売売上高、鉱工業生産、ミシガン大学消費者態度指数
15日(土) 米中貿易閣僚レベル会合(第一段階通商合意に関しての会議)
 

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