8月第1週の相場展望
2020-08-03
市場では先週一週間でみると一方的なドル安進行となりました。背景としては、トランプ大統領が大統領選挙で劣勢な事実から、なんとか国民に訴えかける手段を必要としており、世論を巻き込ませたい意図があるのか、香港問題や南シナ海で爆撃機の訓練を行ったなどの中国への強硬姿勢や大統領選挙延期発言などがある。新たな経済対策を詰めている段階ではあるが、現在の新型コロナウイルス感染者数増加の環境下で先行きの景気へ不透明さが増していることのほうが影響は大きく、市場は景気悪化の方向への織り込みに動きだした感じがしている。
FOMCは予想通りの結果で、フェデラルファンド (FF)金利の誘導目標を0~0.25%に据え置くことを全会一致で決定。新型コロナウイルス感染拡大の影響からの景気回復に向け「あらゆる手段」を尽くすとし、必要な限り政策金利をゼロ%近辺にとどめると改めて表明した。 FOMC後のパウエルFRB総裁の記者会見では、市場関係者予想された範囲内での内容に近かったが、全般ハト派とみなす関係者が多く、それまでドル売りから利食いのショートカバーが入っていただけに、会見後に再度軟調な動きが継続することとなった。会見内容は、「設備投資の指標はまだ回復を示していない」「失業の増加は特に低賃金労働者、女性、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニックにとって深刻」「経済の道筋は並外れて不確実」「力強い経済が回復するまでツールを使う」「必要ならフォワードガイダンスと資産購入の調整可能」等、やはり経済に対しては未だネガティブで先行きの不透明さは増している。総裁はまた、景気はコロナ次第だという発言もしており、金融政策の調整タイミングも難しい段階にきている。
欧州では21日に欧州復興基金が合意に達して、実施へ向け動き出している。その基金の約3割がイタリアに投入されることになっている。その中身は低利融資と補助金であるため、比較的即効性のある政策となる。弱いところへお金を回すことで、危機を平坦化させていきたい意図を感じる。また長年の議論の的であった、欧州の共通債券も実現することになりEU内でのまとまりが感じ取れる。各国が合意し、同じ方向へ動いていることが安心感につながり、ユーロ買いへと繋がっていると考える。一方、米国では大統領選挙を控えて、共和党と民主党が政権争いを行っている最中であり、トランプ政権の現在の政策へ反対する民主党からの意見も多く、さらに新経済対策の議決まで市場関係者は疑心暗鬼となっている。更に新型コロナ感染者数の推移も米国には仇となっており、比較的落ち着いている欧州とは差がみられる。それらの事柄がドル安へと動いている大きな背景であろうかと思われる。ドル指数の割合では、対ドルで見るとユーロは60%以上の影響力を占めているため、ユーロが強いとドルが弱含む相対的な関係も需給面からの大きなドル安要因の一つである。
先週の経済指標は、各国まちまちだったが、米国で4-6月GDPが予想に近い数値とは言え、マイナス30%超えとなり、予想通り悪化している結果を受けて株式相場とドルは共に下落することとなった。 しかし、金曜日には動きに変化があり、新型コロナ追加対策法案を巡る与野党協議は双方引かず、物別れに終わっているにもかかわらず、ドルの買戻しがはいった。民主党がトランプ政権の共和党より増額の支援金を求めていることで、予想より大きな規模の経済対策になる可能性もあって、合意できれば株価やドルへの支援となるだろうが、今回の理由は売り方の買戻し程度であろう。もあり、ここ数週間売られていたドルも流石に買い戻しが入り、ドル円は104円台前半まで売られていたが、米国市場で106円前半まで2円も大きく戻している。ユーロドルも1.19台前半から1.17台前半へと下げている。ユーロドルは中期での61.8%戻しを達成しただけに、一服感が出てもおかしくはなかったタイミングではある。ファンダメンタルズからは、7月のシカゴ購買部協会景気指数が大きく上昇したことやトランプ大統領が大統領選挙の延期はないとコメントしたことが、ドルの買戻しのきっかけとなったと言われているが、ある情報によるとファンドの短期仕掛けからのショートカバーという思惑もあるようだ。個人的な意見では、テクニカルからの買戻しタイミングに差し掛かっていたのも大きかったのではないだろうか。 ドル指数は、今年3月の高値103.56からきれいに5段階の下落形状となっており、チャート形状と日柄、計算等鑑みると、先週の92.24安値は一つのターゲットとみなすこともできそうだと考える(下のチャート図を参照)。まだ確定したわけではないが、いったんの下値めどとなった可能性もある。ドル指数の下値をある程度確定し、下落トレンドを終わらせるチャート形状にするためには、95台を確実に上に抜けていくことが必要かと思われる。

週末ドルの買戻しはあったが、ショートカバーの域は脱していない。ドルの下値を確定したかは、今週が大きな意味を持つと考えている。今週前半に、下値を固めてドル円がしっかりと106円台で推移するか、ユーロドルが1.16台へ下落するようなことになれば、ドル売りからの調整相場がしばらく続くことになるだろうから、相場の潮目が変わるのか注目していきたい。
今週は、まず中国で7月Calxin製造業PMIを皮切りに米国で7月のISM製造業指数など各国の製造業関連指数が多く発表される。 注目は金曜日に発表される米国の雇用統計。ここ数週間の新規失業保険申請件数が以前高水準を保っているため、新型コロナウイルス感染者数の増加が止まらない中、消費に直結する雇用への悪影響が懸念されている。またオーストラリアと英国中銀が政策金利と金融政策を発表する。このところ上昇相場が継続しているが、過熱感もあって、調整のタイミングを迎えるのか中銀の動向には注目となってきそう。
FOMCは予想通りの結果で、フェデラルファンド (FF)金利の誘導目標を0~0.25%に据え置くことを全会一致で決定。新型コロナウイルス感染拡大の影響からの景気回復に向け「あらゆる手段」を尽くすとし、必要な限り政策金利をゼロ%近辺にとどめると改めて表明した。 FOMC後のパウエルFRB総裁の記者会見では、市場関係者予想された範囲内での内容に近かったが、全般ハト派とみなす関係者が多く、それまでドル売りから利食いのショートカバーが入っていただけに、会見後に再度軟調な動きが継続することとなった。会見内容は、「設備投資の指標はまだ回復を示していない」「失業の増加は特に低賃金労働者、女性、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニックにとって深刻」「経済の道筋は並外れて不確実」「力強い経済が回復するまでツールを使う」「必要ならフォワードガイダンスと資産購入の調整可能」等、やはり経済に対しては未だネガティブで先行きの不透明さは増している。総裁はまた、景気はコロナ次第だという発言もしており、金融政策の調整タイミングも難しい段階にきている。
欧州では21日に欧州復興基金が合意に達して、実施へ向け動き出している。その基金の約3割がイタリアに投入されることになっている。その中身は低利融資と補助金であるため、比較的即効性のある政策となる。弱いところへお金を回すことで、危機を平坦化させていきたい意図を感じる。また長年の議論の的であった、欧州の共通債券も実現することになりEU内でのまとまりが感じ取れる。各国が合意し、同じ方向へ動いていることが安心感につながり、ユーロ買いへと繋がっていると考える。一方、米国では大統領選挙を控えて、共和党と民主党が政権争いを行っている最中であり、トランプ政権の現在の政策へ反対する民主党からの意見も多く、さらに新経済対策の議決まで市場関係者は疑心暗鬼となっている。更に新型コロナ感染者数の推移も米国には仇となっており、比較的落ち着いている欧州とは差がみられる。それらの事柄がドル安へと動いている大きな背景であろうかと思われる。ドル指数の割合では、対ドルで見るとユーロは60%以上の影響力を占めているため、ユーロが強いとドルが弱含む相対的な関係も需給面からの大きなドル安要因の一つである。
先週の経済指標は、各国まちまちだったが、米国で4-6月GDPが予想に近い数値とは言え、マイナス30%超えとなり、予想通り悪化している結果を受けて株式相場とドルは共に下落することとなった。 しかし、金曜日には動きに変化があり、新型コロナ追加対策法案を巡る与野党協議は双方引かず、物別れに終わっているにもかかわらず、ドルの買戻しがはいった。民主党がトランプ政権の共和党より増額の支援金を求めていることで、予想より大きな規模の経済対策になる可能性もあって、合意できれば株価やドルへの支援となるだろうが、今回の理由は売り方の買戻し程度であろう。もあり、ここ数週間売られていたドルも流石に買い戻しが入り、ドル円は104円台前半まで売られていたが、米国市場で106円前半まで2円も大きく戻している。ユーロドルも1.19台前半から1.17台前半へと下げている。ユーロドルは中期での61.8%戻しを達成しただけに、一服感が出てもおかしくはなかったタイミングではある。ファンダメンタルズからは、7月のシカゴ購買部協会景気指数が大きく上昇したことやトランプ大統領が大統領選挙の延期はないとコメントしたことが、ドルの買戻しのきっかけとなったと言われているが、ある情報によるとファンドの短期仕掛けからのショートカバーという思惑もあるようだ。個人的な意見では、テクニカルからの買戻しタイミングに差し掛かっていたのも大きかったのではないだろうか。 ドル指数は、今年3月の高値103.56からきれいに5段階の下落形状となっており、チャート形状と日柄、計算等鑑みると、先週の92.24安値は一つのターゲットとみなすこともできそうだと考える(下のチャート図を参照)。まだ確定したわけではないが、いったんの下値めどとなった可能性もある。ドル指数の下値をある程度確定し、下落トレンドを終わらせるチャート形状にするためには、95台を確実に上に抜けていくことが必要かと思われる。

週末ドルの買戻しはあったが、ショートカバーの域は脱していない。ドルの下値を確定したかは、今週が大きな意味を持つと考えている。今週前半に、下値を固めてドル円がしっかりと106円台で推移するか、ユーロドルが1.16台へ下落するようなことになれば、ドル売りからの調整相場がしばらく続くことになるだろうから、相場の潮目が変わるのか注目していきたい。
今週は、まず中国で7月Calxin製造業PMIを皮切りに米国で7月のISM製造業指数など各国の製造業関連指数が多く発表される。 注目は金曜日に発表される米国の雇用統計。ここ数週間の新規失業保険申請件数が以前高水準を保っているため、新型コロナウイルス感染者数の増加が止まらない中、消費に直結する雇用への悪影響が懸念されている。またオーストラリアと英国中銀が政策金利と金融政策を発表する。このところ上昇相場が継続しているが、過熱感もあって、調整のタイミングを迎えるのか中銀の動向には注目となってきそう。