7月第3週の相場展望
2020-07-13
先週のドル指数は、前半下げで後半上げと動き幅が小さなレンジ相場で終始した。円は買われる展開となり、ドル円は106円台に沈んだが、やや戻して週末は107円を挟んだレベルで推移。株価も米国のナスダック指数は史上最高値を更新中で上昇基調の強さを継続、ダウ平均やS&P指数は小動きながらも堅調推移となった。新型コロナウィルスの新規感染者数は、米国がリードする形で再度急増し、企業活動に再度制限が掛けはじめられているところも増えてきたが、政府主導で緩和するものあり、バラバラの体制となっており、制限される飲食店がありながらディズニーランドは再開というフロリダ州のように、州政府と国で違う対応のところも多い。先週米国では、1日の新規感染者数が過去最高の57000人に達した。流石にマスク使用率も上昇しているようで、外出の際はほとんどの人がマスクを着用しているようだ。未だトランプ大統領はマスクをしないが、副大統領以下の閣僚や関係者はマスクを着用していて、一般市民へも陰ながら影響していると思われる。新型コロナウィルスの影響が長引くことが避けられない今、超金融緩和でマネーは溢れており、IT関連のナスダック指数と金相場を中心に振り向けられているようだ。
経済指標の面からは各国ながらも、予想をやや上回る指数が多く、それが株式相場を下支えしている。経済指標発表が少ない中、米国のISM非製造業指数が4か月ぶりの高水準となったことや、経済指標などが証明しているように中国国内景気の戻りが市場心理を支えているようだ。上海総合指数は、2018年以来の高値を更新しており、特に今回は香港国家安全法の導入直後からの急上昇が目立った。中国本土の投資家達は、香港株への投資を強めていて香港を支える姿勢を示しており、それらを好感して中国本土の株価も上昇したと捉えられている。第二次感染の最中であるが、世界消費の大きなシェアを占めている米中の株価が上昇していることが経済からの不安感払しょくに一役買っている。金曜日には、米国製薬会社のギリアド・サイエンシスのコロナ感染症治療薬が治験で良好なデータを示したことが報道されたことで、もみ合っていた株価が急上昇し始めた。しかし実際は、ワクチン接種のタイミングまで到達するのは、安全性や副作用を確認するため治験を何度も行う必要で時間が掛かるというのが専門家の一般的な意見であり、株価にすぐ直結する理由としての影響度は小さいはず。しかし第二次感染拡大不安がある中で、この報道だけで株価が上昇するということは、株式相場は上に行きたがっているということだろうと考えている。株価インデックスに関しては、悪材料を探すより、上昇しそうな好材料を理由にして上昇していく方が可能性は高いでしょう。
外国為替の中では、輸出寄与度が大きい中国の経済回復を背景に豪ドルの堅調さが目立っています。豪ドルは、今年3月19日の安値0.5508を起点に上昇が始まり、6月10日には、0.7064まで上昇し、昨年12月の高値を更新した。その間の上昇率は、約27%と大きな上昇率となった。先月の高値以降は利食いもあってもみ合いとなっているが、再度高値を伺う展開が見られそうだ。ただこれまで上向きの形を継続していた下図の赤線で示している25日移動平均線がフラットな線に変化しそうで、注意は必要だろう。このラインが下向きになると利食い先行となり調整感が強まりそう。短期では、再上昇までしばらく急上昇からの日柄調整が必要と思われる。しかし、長期的な動きからは、私の下落カウントが正しければ2011年の高値からの長期下落トレンドは昨年終了し、今年の反転を機に上昇トレンドに入った可能性が大きいと読んでいます。短期的に調整をする背景としては、直近の新型コロナウィルスの感染再拡大がビクトリア州で始まり、それが隣のニューサウスウェールズ州に飛び火し、ビクトリア州の豪国第2の都市であるメルボルンで先週より6週間のロックダウンが開始されたことが調整局面到来のタイミングの理由として挙げられる。しかし、この素早い政府の指示が経済活動の先行きにはポジティブに作用する可能性が大きいと思われ、ロックダウン解除のタイミングからは再度上昇基調へ戻ることを想定している。この豪ドルの長期の動きは、テクニカルの面から形は違っても下落カウント終了のタイミングがポンドドルの動きと似ており、参考にされたい。イギリスは、EUからのブレグジット交渉が進んでおり、新型コロナウィルスの悪影響から逃れられれば、落ち込みが激しく長いものだったために、反動も大きめと予想しており、今後の経済活動復興へ向けての加速度は高いと考えている。
(豪ドル日足チャート)
(ポンドドル月足チャート)
先週は経済指標や政治イベントが少なかったが、今週はやや多い。まず日銀金融政策決定会合とECB理事会と、日、欧の中央銀行イベントがある。その中でECB理事会と17日のEU首脳会談は注目となろう。ECB理事会では、現状の金融緩和策の維持が見込まれている。その後の記者会見で総額7500ユーロの復興基金を巡るラガルドECB総裁の発言内容や、EU首脳が計画に強く反対しているオランダのルッテ首相の説得度合いなど、それらのイベントがユーロや欧州各国の株式相場に影響が及ぼすのは必至であろう。EUは英国との自由貿易協定締結交渉(FTA)の集中協議を行う予定で重要なイベントの一つであり、交渉内容からポンドドルの上昇が継続するのかどうか注目。また米国では7月フィラデルフィア連銀製造業指数、7月ミシガン大学消費者態度指数などの景況感指数関連と6月の小売売上高と消費関連の指数発表があり、経済の実態のわかる指数だけに焦点の一つとなろう。