7月第1週の相場展望
2020-07-06
相場のテーマが引き続きコロナが中心というのは、先週になっても変わらず、その影響を直に表す指数としてPMI景況感指数があります。PMI指数とは、民間が調査する数値であり、直近の景気動向を読み取ることで、今後の事業計画や戦略策定に役立つ意味合いを持っています。世界や各国の経済予測の元にこの指数を参考にしている企業は多いようで、特にグローバルな事業展開をしている企業には注目度が高いものとなっているようです。先週半ばに欧米各国の製造業PMI指数が改定値ながらも6月分の確定値として発表されました。ユーロ圏全体は、予想と近い数値でしたが、4月は33.4、5月39.4で6月が47.4と大きく上昇しています。しかしまだ過半数の50には届いていないことが、新型コロナウィルスからの第二次感染への不安感を感じさせる数値となっています。ユーロ圏内でのGDPシェアーが20%程度で高いドイツも45.2、次に影響度が大きいフランスは健闘しており5か月ぶりの52.3と半数を超えています。感染者が比較的多かったスペインでさえ49まで戻しており、イタリアは47.5と踏ん張っているようです。米国は49.8で前回より10ポイントも上昇し、上向き度合いは強い、中国は51.2と過半数を超えて回復期かと思わせるような数値となっています。今回は製造業のPMIですから、ネットでの購入が可能な品物だと問題は少ないと思われますが、価格が比較的大きく、関連企業の多い自動車の売れ行きは大きく影響していきます。その自動車販売ですが、今年の3月の売り上げ高は前年比で約4割縮小しており、年内の予想売上台数は今月時点で前年比20%程度の落ち込みが予想されています。またサービスPMIの代表的なもので、G7各国のサービス業PMI指数は30から40程度となっており、感染への不安感は未だ拭いきれておらず外出が減っている環境で、製造業と比較すると落ち込みが激しくなっています。ここ数か月、欧州PMIの予想が米国と比較すると低く、経済活動がネガティブに捉えられていましたが、そんなに悪くない結果を受けて、ユーロやポンドが堅調となりドル安となりました。
(参考資料)
米国の新規感染者数は7月1日には、1日辺り5万人超となり、前日より5000人以上急増し、これまでで最多を記録しました。南部のテキサス州やアリゾナ州及びカリフォルニア州が中心となっており、気温が上昇するなど季節性は感染度合いとは関係が薄いと可能性は高いのでしょう。米国に限っては、実質第二次感染の恐れではなく、始まっていると考えるのが妥当ではないでしょうか。今回までは、製造業に関して、米国の方が大きく向上してはいますが予断は許せません。幾つかの州でサービス業関連での制限が再度厳しくなっていることで、それが徐々にユーロとドルの為替に影響していくのかどうか。今回は、予想が低かった欧州各国の数値改善が大きく、ユーロやポンドの上昇を後押しましたが、次回のサービスPMI発表の際でも各国間の差に注目してみたいと思います。
また金曜日の米国雇用統計は、先月予想と結果が大きく乖離していたことがあって、今回は市場が注目しており、その前の相場はとても静かでレンジ内の取引を繰り返していました。雇用統計の中でも注目されているのが非農業部門雇用者数の変化であり、予想の300万人から結果480万人へと大幅に増加し、今回も予想と乖離することになりました。失業率は予想の12.3%から11.1%へと、これも改善。その結果を受けて、株価は上昇し、ドル買いへ傾斜しました。金は一瞬10ドルほど下げましたが、新型コロナウィルスの新規感染者の急増報道があり、再度上昇に転じています。金は、今回の雇用統計のような注目度合いが強い経済指標には短期で敏感に反応し、今回も利食い優勢の動きに一時的にはなりますが、コロナウィルスの不安感が背景にあり続けるうちは、下値では買いが入りやすい状況は続きそうです。今回の統計は改善の数値となりましたが、直近で新規感染者数が再び急増しているため、今後も注意が必要となります。物価と雇用の見張り番であるFRBは、金融緩和の手綱を緩めることは出来ないはずで、FRB委員達からも警戒の声が高まってくるでしょう。他の先進国と比較して米国内での問題が際立っているので、大統領選挙、暴動も含めて、ドルは弱めで債券価格、つまり金利に反応していくでしょうから、今週も継続して緩やかながらもドル安傾向は続きそうです。
ドル円は依然、狭いレンジ内で動意があまり見られず動きは制限されそうです。金相場も高値もみ合いとなっていますが、カギは新型コロナウィルスの二次感染度合いで、連動していきそうです。一応のターゲットは、節目の1800ドルが当面の目標値となりそうです。ユーロを採用している国々は、金融政策以外コロナウィルス対応が各国別になるため政策が完全に統一されていませんし、ECBの緊急債券購入プログラムで各国の意見対立が進行しており、ユーロは堅調だとしても上昇は緩いものになりそうです。買われやすい通貨としては、ポンドと豪ドルがあり、ポンドはブレグジットが徐々に進んでいるようで、これまで相当売られて数年間大きく下がっていたので、上昇の期待が持てます。豪ドルは、貿易で依存度が大きい中国のPMIが他の国より早い経済の立ち直りを見せていることが背景で、米国の執拗な貿易摩擦がなければ堅調さを保つと考えています。今週は、大きなイベントはありませんが、月曜日に米国の総合PMIとISM非製造業景気指数があり、金曜日は日経平均先物のSQ算出日となるので、一応の警戒はするほうが良いでしょう。