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5月第最終週の相場展望

2020-05-25

先週は、フランスとドイツが新型コロナウィルスの打撃を受けたEU加盟国への支援として、5000億ユーロ規模の復興基金の創設を提案したことで、ユーロ買いで始まった。ユーロドルは、それ以前1.08割れの水準だったところから1.10台まで戻し、今月高値の1.1018を捉えるかに思えたが、大台に乗ったところから再度下げに転じており、なんとも掴みようのない動きとなった。テクニカルからは、125日移動平均線を越えると跳ね返されて下げに転じることが繰り返されており、月曜日現在1.0990付近でゆるやかに下落していて、上値はこのラインを意識した動きとなろう。大きく影響する材料でなければ、中長期的には下げ基調継続中と言えよう。米ドルは、ユーロが下落し、ポンドが中庸を保っており、単独ではほとんど動いていない。外国為替全体でみると、世界的にロックダウンの解除が徐々に始まっているが、解除からの感染度合いの統計や今後の経済活動を不安視していることがあり、頭の重い株価の動きに先立ってか、全般若干円高気味の動きがみられている。

22日金曜日に始まった中国全人代会合では、中国政府が2020年のGDP目標の発表を見送った。商品市場では、この会合でインフラ投資の大幅な拡大が発表されるとの見方が多く、市場関係者の期待が膨らんでいたため、原油が下落し、株価にも飛び火、香港ハンセン指数はこの発表から約5%まで下げた。前日にもトランプ大統領が「中国が香港に対して国家安全法を導入すれば、米国は極めて強硬に対応する」と発言していたことで、米中通商合意が破棄されるとの懸念が強まったことも下落を加速させた一因となっているようだ。また香港では中国の国家安全制定に抗議するデモが行われ、今後リスク要因が膨らむのか注意すべきだ。

それらの影響を直に受けたハンセン指数は、ここ4週間の安値23388香港ドルを下回っており、下げのトレンドとみなすところも多いと思われ、このレベル前後から下落が加速し、買い方の損失売りも伴って大きく下げた。4月から一か月半ほどは、高値24876ドルと前述のレベル間でのレンジ取引が続いていたため、逆に23388ドルが高値の抵抗線、下げが継続すると材料次第では、今後は下値追いの可能性も大きくなってくるだろう。下値トライの場合は、22400付近の抵抗ラインが一つの目途となるだろう。このレベルを下回ると高値から61.8%押しの21860319日の安値20945が次なる下値のターゲットとなりそう。25日移動平均線が下向きとなったのも下げに転じた可能性を示唆している。このラインが上向くまでは、売りから入るのが定石となってくる。ハンセン指数の動きが世界の株価をリードしているとは言えないが、米国の強硬な中国への圧力や全人代の弱気な雰囲気が残るだけに、米国株式相場や原油価格がちょこんと頭を打った感もあり、もう一つ悪材料が出ると、これまでコロナウィルスの悪影響から戻ってきた世界の株価の先行きを案ずることにも繋がってしまう。下落が継続すれば、テクニカルや需給から軟調トレンドが始まる可能性もあり、注目すべき指数の一つとなってくるであろう。


今週は、世界先進各国がロックダウンなどからの行動緩和措置を取り始めておりその動向を見極めることやロシアやブラジルなど新興国の感染者やそれによる死者拡大ペースに歯止めが掛かるのかどうかが焦点となろう。米国内でもいまだ新規感染者のペースは落ちてきたものの、一日で1万人以上も増加しており、緩和し始めた中でペースが再度上昇しないか警戒は必要だ。香港ハンセン株価指数が下落を急にしている割には、他の国の株価は堅調だ。日本は緊急事態宣言を今日にも残る関東圏と北海道の解除を認める方向で進んでおり、日本と欧米諸国の株価は堅調に推移している。世界的な追加経済対策や金融緩和での下支えの効果は大きく、ハンセン指数が下げ止まれば上昇を継続していきそうだ。

25日の月曜日は、米国と英国は休場となる。今週は、比較的経済指標が少ない中、米国では、5月のコンファレンスボード消費者信頼感、シカゴ購買部景気指数とミシガン大学消費者信頼感指数や4月の個人消費支出の発表がある。欧州は、5月の消費者信頼感指数やドイツの4月小売売上高が注目されよう。

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