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英中銀:2月委員会は2回連続で0.5%の利上げ

2023-01-19

■ 実質賃金は減少が続くなか大規模ストライキが断続的に実施され、経済活動への悪影響も
■ エネルギー価格下落を背景にインフレ圧力は弱まると見込み、3月以降は利上げ幅縮小か

   英国では昨年9-11月の失業率が3.7%と約50年ぶりの低水準にとどまった。平均賃金(ボーナスを除く)は前年比6.4%増となり、都市封鎖や政府の支援措置で統計に歪みが生じたコロナ禍を除けば、2001年の統計開始以来の最大の伸びとなった。英国の欧州連合(EU)離脱に伴うEUからの移民制限や新型コロナウイルスパンデミックの影響で、労働人口は減少傾向をたどっている。労働市場の需給ひっ迫を背景に賃金上昇率は高い伸びが続くが、名目賃金の上昇率を大幅に上回る消費者物価指数(CPI)の伸びを受けて、実質賃金は減少が続く。こうしたなか、労働組合は物価上昇に見合った賃上げを要求。特に、鉄道労働者、郵便配達員、看護婦、救急医療隊員、大学職員など公的部門では賃金上昇率が民間部門より低く、今後も大規模なストライキが断続的に実施される予定で、経済活動への影響も懸念される。

   市場予想では、本日公表される昨年12月のCPI上昇率は総合が前年比10.5%、コアは同6.2%といずれも前月(同10.7%、同6.3%)から鈍化する見通し。労働コスト増を反映してサービス価格も上昇。高インフレが続くとの見方は根強い。一方、ベイリー英中銀(BOE)総裁は16日の議会証言で、エネルギー価格の下落によって今年はインフレ率が大幅に鈍化すると見込まれるものの、労働力不足が大きなリスクになるとの見解。昨年10-12月の求人件数は前年比8.5万件減少するなど労働需給緩和の兆しも表れており、CPIは昨年10月(前年比11.1%上昇)をピークに鈍化するか見極めることになろう。2月2日開催の金融政策委員会(MPC)では、10回連続で利上げが決定される公算。短期金融市場では0.5%の追加利上げが70%強の確率だが、3月以降は利上げ幅が0.25%に縮小するとの織り込みも進む。
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