News

2023年1月第3週目(16日~20日)の相場展望

2023-01-16

2023年1月第3週目(16日~20日)の相場展望

    先週、米国の12月CPIは年間の消費者物価指数が前回発表の11月の7.1%を大きく下回り、6.5%となった。予想通りの数値であったが、ここ1年では最低の上昇幅となったことと、前月比では予想を下回りマイナス0.1%となったことで長短金利が低下した。それを受けて、為替相場はドル安に大きく傾斜し、132円台で推移していたドル円は130円割れとなり、ユーロドルも大きく上昇した。ここのところ堅調推移していた金価格は、節目の1900ドルを越えその後も上昇基調を継続中である。米国株価は堅調な動きを見せた。

    CPIの結果を受けて、FRBの高官からは来月のFOMCでは0.25%の利上げを推す声が多くなっているが、政策金利5%台を長く続けると釘を差す意見も複数の委員から出ている。翌日の金曜日もドル安が継続し、市場からの政策金利の推移予想では、ターミナルレートが6月に4.925%、年末には4.469%まで低下するとしている。その予想を織り込むかのようにドル安進行が加速している形となっている。また日銀が今週の金融政策決定会合において、前回の流れを進めて金融緩和の縮小となる更なる一手を打つのではないかという意見が多く、ドル円は大きく値を下げ、127円台まで到達した。

    ドル安が継続しているが、129円台を下回ってからは仕掛け的な動きもみられるようだ。ユーロドルは高値更新が続いているものの、上昇率は週末から落ちている。シカゴ先物市場での円の建玉は、徐々にショート玉の減少となっており、1月10日付の資料では35377枚のショートが残っているが、1週間前の数値であるため、恐らく16日現在ではロングへと転じている可能性もある。投機筋がショートからロングへ転換するタイミングでは、しばしば仕掛けの動きが見られることがあるため、ドル円の売り仕掛けとなれば、日銀金融政策決定会合の発表が行われる18日まで継続する可能性がある。2020年3月安値の101.17から2022年10月の高値151.91の半値戻しが126.54となり、2015年のアベノミクスからの高値が125円後半となるため、126円台は抵抗となりやすい。このレベルを割り込むと、120円程度までの急落も考えられるだろう。次のターゲットとしては、61.8%戻しの120円台半ばとなってくる。ただ日銀の政策が前回同様の結果となれば、買戻しも急となりやすく130円台回復の可能性も出てくるだろう。上値は130円手前に軽い抵抗があり、次は132円半ば水準と値が離れる。18日の午後は乱高下が必至であろうから、ドル円のポジションを保有するなら証拠金を十分積んでおくことが賢明である。

ドル円日足チャート
 
    ユーロドルはドル円とほぼ逆相関となっており、ドル安の影響を大きく受けているようだ。ポンドと比較すると上昇基調は強く、背景には欧州の景況感の戻しがある。英国は経済統計の悪化傾向が強く、インフレもなかなか下がってこないままである。欧州では、直近でのCPI低下がみられているが、英国は労働契約の逼迫で賃金の上昇が止まらず、インフレ圧力を強めている。ユーロドルをチャートから見ると、2021年高値から昨年10月安値の半値戻しが近づいており、このレベルは強い抵抗となりそうだ。1.0928が半値戻しレベルであり、11月からは上昇率が大きくなっているため、このまま上昇を続けると反動も大きい。そろそろ調整してもおかしくないレベルまで来ている。調整の目途としてはRSI70越えとなるのではないか。2019年以降で見るとRSI70越えは、コロナショックは別とするとことごとく反転下落か調整期間に入るタイミングとなっている。調整から横ばい、または一旦1.07割れ程度までの下落があるかもしれない。1.0928を上に抜けると1.1の大台替わりを目指す展開も考えられるが、RSI70越えのタイミングとなるだろうから、大台突破から追いかけて買うのは避けた方が無難だろう。5日移動平均線レベルと25日移動平均線レベルが下の抵抗となりそうだ。5日線が下向きとなれば調整の可能性が大きくなってくるだろう。

ユーロドル日足チャート
 
    今週は経済指標発表等のイベントが多い。米国では1月NYK連銀製造業指数を皮切りに、12月の卸売物価指数(PPI)、鉱工業生産や小売売上高、また地区連銀経済報告(ベージュブック)、住宅着工件数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数も控える。欧州では、ドイツの卸売物価指数、ZEW景況感調査、ユーロ圏ZEWに前回ECBの議事要旨が発表される。日本では日銀金融政策決定会合の結果が発表される予定で要注意である。また中国の第3四半期のGDPや12月の小売売上や鉱工業生産でどこまでの回復が見られるだろうか、注目していきたい。
TOP