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米国株:2022年10-12月期決算プレビュー

2023-01-11

■ S&P500構成企業の一株当たり利益(EPS)は下方修正が進展
■ 景気減速の深さや長さが想定を上回れば、株価のさらなる下押し要因に

   13日の金融大手を皮切りに、米国で主要企業の昨年10-12月期決算発表が本格化する。S&P500構成企業のうち、来週は30社、再来週は114社が決算発表を予定しており、米国株式市場は当面、利上げ加速に伴う景気後退が意識されるなか、個別企業の決算内容や今後の事業環境に対する経営陣からの情報発信に一喜一憂する展開となりそうだ。
   米ブルームバーグによれば、S&P500構成企業の昨年12月の営業利益率は14.6%と2月の直近ピーク(16.2%)から低下傾向にある。賃金上昇などのコスト高に対して、大企業を中心に販売価格引き上げの動きが続いているが、コスト高が利益を圧迫する勢いが増してきている。こうしたなかで、金融情報会社リフィニティブの集計(6日時点)によれば、S&P500構成企業の昨年10-12月期の売上高は前年比4.1%増と前期(同11.7%増)から大きく減速する見込みで、実質可処分所得が伸び悩むなかで売上高と利益率の低下による企業利益の伸び悩みが警戒される。また、一株当たり利益(EPS)は同2.2%減と、10月初め(同5.8%増)から下方修正され減益に転じると見込まれている。エネルギーセクター(同64.7%増)が引き続き全体をけん引するものの、エネルギーセクターを除くと同6.7%減と、4-6月期(同2.1%減)、7-9月期(同3.3%減)に続く減益となる見込みである。
    素材(同22.4%減)、コミュニケーションサービス(同21.4%減)や一般消費財(同15.1%減)など、主要11セクターのうち7セクターが前年比減益となると予想されている。S&P500全体では通年で、2022年が5.5%増、2023年が4.1%増と、10月初め(それぞれ7.7%増、7.8%増)から下方修正されてきている。ただ、今年後半には業績回復に向かい、2024年には10.5%増益になると見込まれており、やや楽観的な印象は否めない。景気減速の深さや長さが想定を上回ることとなれば、業績見通しのさらなる下方修正が株価を下押しするリスクがくすぶる。

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