4月最終週の相場展望
2020-04-27
先週は、原油価格のマイナス数値という暴落が目立った動きとなり、相場をかく乱するに思われたが、先物5月物の納会後にやや持ち直している。OPECやロシアを中心に更なる減産という思惑もあるようだ。しかし需要に対し供給が過剰になっている現在、直ぐに持ち直すのかは疑問が残る。その動きから相場全体がややリスクオフとなり、ドル高の傾向が強く出ています。先週にやや持ち直したように見える原油価格も、ここ数か月程度は原油の需要は伸びない推測となっており、需給からどうしても供給過剰は変わらない。米国とイラン関係の緊張再発で、下落からの調整をしているが、落ち着けば再度下値模索の展開は避けられないとみている。
欧米のPMIがことごとく予想を大幅に下回り、先行き景気の見通しが悪化している。各国中銀は一段の金融緩和にも言及しており、株価だけは底固い展開となっている。金価格は堅調推移で、各国通貨キャッシュ放出の流れからまた1700ドル台へ乗せている。コロナウィルスの影響でリスクオフの間にドル指数は大きく上昇し、ここひと月程度は小動きとなっているが、今後は幾つかの理由で堅調さが増していくと思われる。まずトランプ大統領が17日の記者会見でドル高は世界にとって良いことだと言及したこと、背景としては世界の景気悪化懸念で米国輸出産業の雇用回復の見込みが低い、またドル高で物価を抑制し、購買力を強化させ、ドル資金の滞留プラス流入を意図して国内でマネーを滞留させるという理由があるように思える。ドル高が進行すると新興国にとっては外貨の流出となると、歴史的に大きな痛手を被ってきた。しかし現在のトランプ大統領の立ち位置は、今は大統領選挙へ向いており、以前より増して他国経済への意識は薄くなっていると思われる。金融の軸であるFRBは金融緩和を制限なく行うという方向で一致しており、政府側がドル高と言及しても大きく傾くとはいかないだろう。動きとしてはドル高がじりじり進行すると見ている。その結果、ドル円は値を保ち動きが小さくなっているが、クロス円は下落基調が明確であり、これは対ドル通貨が安くなっていることの証である。ユーロドルが金曜日に今月の安値を下回ったことで、ドル買いにやや加速がつくのか見極めたいところ。都度重なる経済指標、その中でも景況感指数関連は企業マインドを示していると思われ、今後の数値に注目が集まる。
今週は、日米欧主要先進国の中央銀行が金融政策を発表する。各国ともに、コロナウィルスの影響の大きさから、一段の金融緩和へと動く方向だと報道されており、株価などもサポートされやすいことで、ドルは明確な方向感に欠く展開となりそうだ。需給面からは、原油価格の暴落で輸入コストが下がり貿易赤字にはなりにくく、これは円高要因。しかし日銀の一層の緩和的な動きが出ると円安要因となる。結果としては、綱引き状態で動きづらいのではないかと予想している。
金相場は再度強気な上昇を見せており、今月高値の1747に迫ってきた。高値を上抜けすると1780ドルが次のターゲット。これを上に抜けると直ぐということではないが、2011年の高値1900ドル付近まで上昇すると考えている。この上昇は、コロナウィルスの金融機関への悪影響を抑えるための、各国の金融緩和による影響が大きい。
金融政策会合以外にも、今週は先週同様に景況感関連指数とGDPの発表がある。月曜日は米国4月の消費者信頼感指数の発表があり、消費者マインドがダイレクトに伝わる数値になると思っている。また水曜日には欧州の4月消費者信頼感と米国1-3月のGDP発表。木橋日には日本の4月消費者態度指数と欧州1-3月のGDP、米国は4月シカゴ購買部協会景気指数となる。特に注目されている米国4月のISM製造業景気指数は金曜日に控えており、各国の4月の景況感が現場から伝わるものとなり、リスクの方向性を示唆するものとなるのか注目したいところである。悪化すれば、テクニカルで分のあるドル買いに拍車が掛る可能性を考えている。しかしながら、米国FRBのパウエル総裁の記者会見での金融緩和次第ではドル安も考えられるため材料次第の動きでまちまちとなりそうで、週前半は若干ドル安、後半にドル高のイメージを考えている。