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2023年1月第2週目(9日~13日)の相場展望

2023-01-10

2023年1月第2週目(9日~13日)の相場展望

    年末年始で相場は予想外に大きく動いた。その動きを牽引していたのが米国国債相場であり、金利水準が大きく下落となった。米国10年債利回りは、12月7日に3.4%の底値を付けた後、年末に掛けて上昇し12月20日の最終日には3.9%まで上昇したが、その後下落となり本日1月10日時点では3.5%まで急落している。昨年末までは、米国CPIの下落でインフレ率鈍化を受けて下がり始め、その後のFOMCでは0.5%の予想通りの利上げ、またパウエルFRB総裁の記者会見では、タカ派コメントとなったことで金利が上昇した。その流れで3.9%を付けた金利であったが、年末要因もあってじりじりと水準を下げていった。先行き利上げや金利の高止まりを示唆したFRB側のコメントがあっても、年末年始にかけて薄い相場の中行き過ぎた債券相場は調整で買戻し、金利は下げた格好となり現在に至っている。


    この債券相場が株価や為替、商品価格の動きをリードしており、米国債券が全体の相場の裏付けとなっていることは明確だ。欧米の機関投資家だけではなく、個人のセミプロの投資家達は、株や為替、商品など以外にも、債券に大きく投資しており、バランスの取れたポートフォリオを設定して資産を効率的に増やしている。しかし日本の投資家は、日本国債では収益が出ないこともあり、ほとんどの投資家が国債には投資しない。年率1%以下の商品であるため、投資する意味はないのだが、機関投資家はそれでも国債を大量に買って保有している。悲しいかな、日本では様々な金融商品からの投資リターンが低いままだからである。しかし日本でも欧米のETFで債券を変える。通貨ヘッジが出来るのもあり、様々な債券商品にも投資することが出来るので、3-4%の米国債に投資することは、ここ数年では、不透明な経済情勢の中で価値のあるものの一つになってくるだろう。


    ドル円は年末の米国債利回りを睨んで動いていたが、12月の日銀金融政策委員会で、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の下での10年物国債金利の許容変動幅を従来のプラスマイナス0.25%からプラスマイナス0.5%に拡大すると決定したことが市場へのサプライズとなり、急激な円高へ動いた。ドル円は137円中盤に堅調推移をしていたが、一気に133円前半まで下げ、その後海外市場で130円台半ばまで大きく下げた。日本勢、海外勢共に機関投資家などの間では、来年春ごろまでに何らからの動きを想定していたが、予想より早い決定となり市場は混乱した。ただ黒田総裁の定例記者会見では、今後も段階的に緩和解除の方向に動くのではなく、イールドカーブの調整に過ぎないというニュアンスと説明があったが、市場では今後のテーパリングへの布石と捉えている向きが確実に増えている。今年最初の日銀金融政策委員会が18日に控えており、再度金利許容変動幅の拡大へ思惑が傾きつつあり、再度130円割れを狙ってくる動きが想定される。注目されていた先週末の米国雇用統計では、失業率が3.5%に改善され、非農業部門雇用者数が予想を上回ったが、時給の伸びが緩和されたことで、金利はやや低下し、ドル売り、株買いに動いた。その後12月ISM非製造業指数が下がったため、金利の低下に拍車がかかった。雇用者増より時給やISM指数に相場が引っ張られ、金利低下からドル安に動いたことで、しばらくはドル安要因に反応しやすい地合いが続くであろう。来月1日に行われるFOMCでは、0.25%利上げが79%、0.5%利上げが21%ほどの予想となっている。地区連銀を含めたFOMC委員からは、0.25%利上げのコメントが若干優勢と感じられるが、0.5%の可能性も残っている。ドル円の場合は、FOMCや米CPIなどのドル要因と日銀政策の動きの両面を鑑みて動くので難しいが、注目度が明確なので、市場の思惑が行き過ぎたと思われる時に逆張りをするのが効果的であろう。変動率は大きいままであるため、今後も相場の行き過ぎがしばしば見受けられるだろう。今週の注目は、12日(水)の米国消費者物価指数(CPI)であり、ここから2日間で市場はどのポジションに傾けてくるのかを見極めたい。前回は、ドル円が137円台から135円に2円も急落しているだけに、今回の動き幅も大きくなるであろう。ただ市場はインフレ緩和へ織り込みすぎると、買戻しが急になる可能性があるだろう。130円台は買っておいても良いだろうが、129円前半にはストップロスを入れておくことをお勧めする。逆に134円台は重く感じられ、今後も25日移動平均が上値を抑える展開となるだろう。5日線と25日線が徐々に近づいているため、ゴールデンクロスになると、下値不安が減少し、その間にRSI14が50を上回ることがあれば、一旦138円台までの上昇を予想する。

ドル円日足チャート

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