News

FOMC議事要旨:金融引き締め継続の必要性を共有

2023-01-06

■ FOMC議事要旨では、金融引き締め継続の必要性が参加者の間で共有されていることを確認

■ 金融市場での利下げ織り込みへの警戒も示され、引き締め継続の情報発信が続きそうだ


   昨年12月13、14日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が4日に公表された。本会合では0.50%の利上げを決定し、4会合続いた0.75%から利上げ幅を縮小させた。同時に発表された「経済見通し概要(SEP)」では、FOMC参加者の政策金利見通しが9月時点から引き上げられるとともに、実質GDP成長率の下方修正、失業率、インフレ率の上方修正が行われた。景気抑制効果が強まることを想定する一方、金融引き締めを長期間継続する姿勢が一段と強められた。議事要旨では以下のような点が明らかとなった。

(1)すべての参加者が、9月時点の政策金利見通しを引き上げ、2023年中に利下げに転じることを見込んでいない。また、参加者の間で、目標水準に向けた持続的なインフレ抑制の経路に確信が持てるようになるまで景気抑制的な政策を継続する必要性が共有されている。

(2)金融政策に対する市場の誤認により、金融環境が政策意図に反して緩和される場合、物価安定実現のための政策効果が阻害されてしまうことに警戒を強めている。
(3)金融引き締めが不十分な場合と過剰な場合の影響が議論され、参加者は総じて、金融引き締めが不十分な場合のインフレ見通しの上振れが引き続き政策決定の重要な要因であると認識している。この認識に基づき、景気抑制的な政策姿勢を維持することが適切であるとの見解に達した。

  金融市場では2023年後半から利下げに転じることが織り込まれ、市場金利は昨年11月以降低下基調に転じている。FOMCでも(2)のような警戒が示されており、現在の政策期待が形成されている限り、金融市場の織り込みを追認し市場金利低下を促すような政策転換のガイダンスが事前に示されることは想定しづらい。また(3)に基づくと、経済が見通し通りに推移し、今後想定を上回るペースでの景気急減速やインフレ鈍化が観測されない限り、金融引き締めを継続する現在の政策姿勢が保たれよう。FOMC声明文やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見では利上げ終了時期や政策転換に関する示唆は全く示されなかったが、FOMC議事要旨でもこれらに関する新たな手掛かりは確認されなかった。ただ、金融市場の認識との乖離は埋まらず、引き締め継続を主張するコミュニケーションが続きそうだ。

TOP