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米国マクロ経済見通し

2023-01-04

■企業活動の減速感が強まり、個人消費にも陰りがみえ始める
■引き締め的な政策を長期間継続する方針が明確化

    米国では、製造業を中心に企業活動の減速感が強まり、底堅さを保ってきた個人消費の増勢にも陰りがみえ始めている。また、労働市場も緩やかな軟化が続いている。景気減速とともにインフレ圧力は和らぎつつあるが、労働需要超過は解消されておらず、サービス価格を中心に高インフレが続いている。
    11月の小売売上高(自動車、外食、建材、ガソリン除くコア売上高、前月比0.2%減)は11カ月ぶり、鉱工業生産(同0.2%減)は2カ月連続でそれぞれ減少し、個人消費や生産が伸び悩みつつある。労働市場では情報業など一部の業種で人員削減の動きがみられたものの、レジャー・接客、教育業など対面サービス業種では依然として労働需要は強く、非農業部門雇用者数(同26.3万人増)は20万人を上回る雇用増が続いている。
    11月の消費者物価指数(CPI)では、食品・エネルギー除くコアCPI(前年比6.0%上昇、前月比0.2%上昇)の上昇ペース鈍化が続いた。ただし、サービス価格の上昇率は依然として高く、アトランタ連銀が算出する粘着価格コアCPI(前年比6.5%上昇)が弾力価格コアCPI(同4.5%上昇)を上回るなど、インフレの主因はエネルギーからサービスへ移行していることがうかがえる。12月13、14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.50%への利上げ幅縮小を決定し、2023年以降の参加者の政策金利見通しが引き上げられた。
    2023年の実質GDP成長率見通しは1%未満へ大幅に下方修正され、米連邦準備理事会(FRB)は景気低迷を想定するなかでも、少なくとも2023年末まで現在よりも高い政策金利水準を維持し、大幅利上げを継続するよりも引き締め的な政策を長期間継続する方針を明確に打ち出した。利上げ幅をさらに縮小したうえでの利上げ継続が見込まれるが、景気低迷が一段と明確となる2023年前半に利上げを終了し、政策据え置きへ移行するだろう。
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