ドル円:年末年始の注意点
2022-12-27
■ ドル円相場が不安定ななかで、市場参加者が少なくなる年末年始を迎える
■ 年明けの重要イベントを控えて穏やかな年末年始を予想するが、一時的に荒れる可能性も
2022年は残すところ一週間弱となり、金融市場では年末年始へ向けて市場参加者が少なくなる時期に入った。毎年この時期は市場の流動性が薄く、値幅拡大が意識されやすい。本稿では、ドル円相場について年末年始の注意点を確認したい。
過去20年間のクリスマスから1月3日までのドル円値幅(高値と安値の差)は、平均で2.24円だった。最大は2018-19年の6.54円、2007-08年の6.41円など。最小は2015-16年の0.61円、2020-21年の0.94円などがある。今年は12月19、20日の日銀金融政策決定会合を経て、ドル円相場は不安定な状況にある。例えば、先週後半の通貨オプション市場では、「1カ月から3カ月先にかけて、ドル円が122円台まで低下する」可能性も意識されるような価格形成となった。念のため、以下の2点に注目しておきたい。
1点目は投機筋のポジション解消だ。これは日米政策金利差の拡大が背景にある。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げで、米国の政策金利は4.25-4.50%へ上昇。対して、日本の短期政策金利はマイナス0.10%と、政策金利差は4.5%程度まで拡大した。これは、一年前(0.3%程度)と比べると、ドル売り・円買いポジションの保有コスト大幅上昇を意味する。もし、12月20日以降に新規のドル売り・円買いポジションを構築した市場参加者がいた場合、保有コスト増大を嫌って、年末前にいったんポジションを解消するケースも想定される。実現すれば、12月28日にかけてドル高円安方向へ値が振れる可能性もある。
2点目は年始の取引開始日の違いである。新年の取引開始日は米国が1月3日(火)、日本市場は4日(水)であるため、3日(火)は東京市場の参加者不在ななかで、新年のドル円相場がスタートする。また、海外金融機関は1月が決算のスタートでもあるため、値が振れやすい新年に一稼ぎを狙うディーラーもいると言われている。年明け直後には4日(水)にFOMC議事要旨(12月13、14日開催分)、6日(金)に12月の米雇用統計の発表を控えるため、基本的には穏やかな年末年始になると予想する。ただ、上記の通り、ドル円相場が一時的に荒れる下地はあるとみており、何が起きても冷静な対処を心がけたい。