米国株:2023年の相場観
2022-12-20
■ 来年前半は企業業績の下方修正リスクに伴い、株価軟調を想定
■ 来年後半には金融緩和期待が株価を押し上げるとみる
今年のS&P500は3回の上昇局面を経ながらも上値を切り下げる展開となり、16日時点では年初来19.2%下落となっている。米連邦準備理事会(FRB)による異例の急ピッチの金融引き締めにより、予想株価収益率(PER)が低下したことが主因となった。
2023年の米国株式市場は、前半軟調、後半回復を想定している。株価が下落しやすい地合いは継続するが、相場環境は今年の「逆金融相場」から「逆業績相場」に移行し、株安の主因は景気悪化の勢いが増すことによる予想一株あたり利益(EPS)の下方修正に切り替わると考えている。S&P500の2023年予想EPS成長率は今年初めの10%程度から足元では約4%まで水準を切り下げてきており、相応の景気悪化を織り込んだと判断される。しかしながら、景気後退局面に移行すれば、同成長率はマイナス圏まで急速に切り下がるおそれがある。来年前半は企業業績見通し悪化による株価下振れを警戒し、S&P500は再び3600ポイントを下回る水準まで下落する可能性があるとみている。
一方、金融政策も局面が変化することが見込まれる。パウエルFRB議長は金融引き締めプログラムを利上げペース、ターミナルレートの水準、利上げ終了後の据え置き期間という3つの柱から成り立つと見立てた。市場では来年前半にも利上げ局面が終了し、政策金利の据え置き期間に移行すると見込まれている。そうなれば、予想株価収益率(PER)の上昇による「金融相場」的な株高が散見されるようになるだろう。来年後半にかけて予想EPSの下方修正リスクが織り込まれ、金融緩和期待が株価を押し上げる展開になるとみて、S&P500の来年末予想値を4000ポイントとしている。