ECB理事会レビュー:大幅な利上げ継続を示唆
2022-12-19
■ 欧州中銀(ECB)は4会合連続で利上げを決定したが、利上げ幅は0.50%へ縮小
■ インフレの上振れを警戒し引き締めは長期化だが、景気減速を踏まえ利上げペースは鈍化へ
欧州中銀(ECB)は15日の理事会で主要政策金利を0.50%引き上げた。利上げは4会合連続となったが、利上げ幅は9、10月(それぞれ0.75%)から縮小した。声明では、「インフレ率を適切な時期に中期目標の2%へ戻すため、十分に制約的な水準に到達するまで、引き続き一定ペースで大幅な利上げが必要だと判断した」との認識が示された。保有資産正常化の原則についても議論。2023年3月以降は資産購入プログラム(APP)による保有資産残高を慎重かつ予測可能なペースで縮小し、同4-6月期まで月平均150億ユーロ減少する。具体策は来年2月の理事会で協議される。
ECBスタッフによるインフレ見通しは2023年が6.3%、2024年は3.4%、へ大幅に上方修正され、新たに2025年は2.3%とされた。エネルギー危機や不確実性の高さ、世界的な経済活動の弱まり、資金調達条件のひっ迫によって、ユーロ圏経済は今四半期と次四半期に縮小する可能性があるものの、景気後退は比較的短期で浅いと指摘。成長率見通しは2023年を0.5%へ下方修正したが、2024年は1.9%と変わらず、2025年は1.8%、と予測した。
ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で、次回理事会(2023年2月2日)以降も0.50%の利上げが予測されるものの、すべてはデータ次第だと従前通りの考え。物価上昇の裾野が広がるなか、賃金の伸びは拡大しインフレリスクは上向きと指摘し、今後も利上げ継続の姿勢を堅持した。0.75%の利上げを支持するECBメンバーも少なくなかったと伝えられているが、量的引き締め(QT)の進捗に合わせて利上げペースを調整することになろう。現時点では、「中銀預金金利」の最終到達点は2023年央をメドに3.00-3.25%を織り込む動きが進み、同年末までに利下げを見込む市場参加者はほぼなくなった。