FOMC:金融引き締め継続の方針を強調
2022-12-16
■ FOMCは0.50%への利上げ幅縮小を決定し、同時に参加者の政策金利見通しを上方修正した
■ 景気減速下でも金融引き締め継続の方針が示されたが、将来的な政策転換の見解は分かれる
12月13、14日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.50%の政策金利引き上げを決定し、直近4会合続いていた0.75%から利上げ幅が縮小された。声明文は前回会合の内容が概ね踏襲された。前回同様、「委員会は、長期的に2%のインフレへの回帰に向けて十分に引き締め的な金融政策姿勢を実現するため、政策目標(金利)レンジの継続的な引き上げが適切であると認識している」と記され、利上げの終了時期や将来的な政策転換に関する具体的な手掛かりは明示されなかった。
四半期ごとに発表される「経済見通し概要(SEP)」(以下、見通しはすべて参加者の中央値を参照)では、参加者の政策金利見通しが、2023年末が5.125%、2024年末が4.125%、2025年末が3.125%へそれぞれ9月時点から引き上げられ、少なくとも2023年末まで現在よりも高い政策金利水準を維持する方針が確認された。2025年まで長期見通しの2.500%を上回り、引き締め的な政策を長期間継続する意向も示されている。同時に、2024年までの実質GDP成長率が下方修正される一方、失業率、インフレ率見通しは2025年まで上方修正され、引き締め的な政策の継続によって景気が強く抑制されることも想定されている。
以上の内容からは、米連邦準備理事会(FRB)は、景気低迷が続くなかでも、引き締め的な政策姿勢の早期転換を明確に否定していることが読み取れる。パウエルFRB議長の会見も、声明文やSEP同様、金融引き締めを継続していく必要性を強調する内容だった。
FRBは、従前から、長期的なインフレ期待の上昇を抑制するため、多少の景気減速は容認し、より高い金利水準を出来るだけ長期間継続する意向を示してきた。FOMC参加者の政策金利見通しの分布をみると、2023年は引き締め的な政策の継続で参加者の見解は概ね一致しているが、2024年以降は政策金利見通しの乖離が拡大しており、将来的な政策転換に関しては見解の相違がうかがえる。金融市場でも金融引き締め継続による景気の急減速が織り込まれており、FRBの見解と金融市場の認識も乖離している。今後の政策に関しては、データ次第とする方針を踏襲し、明確なガイダンスが示されていないため、2023年は、政策転換が視野に入るなか、FRBのコミュニケーションが市場変動を増幅する傾向が一段と強まることになるだろう。