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4月第四週の相場展望

2020-04-20

イースター休暇前、トランプ大統領の説得が功を奏した形で、サウジアラビア中心のOPEC諸国とロシアに原油の減産合意を仲介し、17ドル台まで落ち込んでいた原油価格は一時28ドル台まで戻した。さすがに底は打ったような大きな上昇となったが、それは大きな期待とショートカバーでの買いが中心だったようで、期待したほどの減産数値でなかったこともありそこからじりじりと値を下げ、とうとう21年ぶりの安値更新となった。1週間で30%も上下するボラティリティーの非常に高い相場となっており、また原油取引のスワップポイントも非常な大きな上昇となっており、非常事態の環境下であることを示している。   

OPECは5月と6月に日量970万バレル減産を行うことを決定し、7月以降年末までは800万バレルの減産を継続し、米国もシェールオイルを減産させる予定となっているが、それを鑑みてもまだ需要の減少落ち込みに対処出来ないほどの不安感が高まっているはずで、各国の減産姿勢が先行きの原油消費活動低迷を予期させることで相場が下落していると思われる。 原油相場は、世界経済の大きな減速を予想しているようだ。

原油相場に大きな影響を与える中国経済は、活動を徐々に取り戻しているようだが、欧米を中心に輸出商品の購買が減少している中では、今年1-3月のGDPの落ち込みのようにそれらの国々がコロナウィルスの影響を受けないようになるまでは、今後も中国の経済への悪影響は続くのではないだろうか。それだけ現在の世界は繋がっており、自国だけ生き延びるのは不可能となっているということであろうか。貿易が減少するということは、それらの国々の経済活動も減少するということが証明されている。それでも私の予想では、2007年の高値140ドル台からの下落相場は、今回の下落で最終ラウンドとなっていると考えており、時間は掛かるだろうが安値に近いと予想する。世界経済が回復すると米国金利が上昇するため、相場への重しとはなるので安定上昇には時間が必要である。トレンドを確実に掴むために、長めのチャートで把握が必要となります。長めのトレンドで捉えるとすれば、週足での4週前の高値を上に抜ける、それより短めですと、日足での4日前の高値を上に抜けることを条件としてトレンドを把握する方法が有効です。ヘッジファンドの一部にはこの手法でトレンドを捉えているところもあり、底値を拾うことは無理ですが、利益には貢献してくれると考えています。 

*スワップポイントは、サウジアラビアが原油取引価格に上乗せする調整金を大きく下げたためによることも若干ありますが、基本的には先物の期近物(現在は5月物)価格(20日現在15ドル程度、とそれ以降のメジャー期日先物価格の値段(6月物は24ドル後半)が大きく違っていることが反映しています。直近は売り物が非常に多く安い価格を予想しているが、2か月後以降はやや戻すのではないかと先物相場が予想しているということになります、現在のスワップポイントは売りも買いもそれらの価格差を反映させているということです。この価格差は、毎月第3週の金曜日に行われる月の最終売買日に向けての精算まで縮小するのが通常ですが、先行き不安等で価格が下がっていく可能性も残ります。ちなみにPRC社は、大手取引先からメジャー月(3,6,9,12月)のレートを参考にスワップポイントで調整されたレートを参考にお客様へ提示しています。メジャー6月物より非常に安く買えますが、スワップポイントが大きくなっていますので、ポジション持越しの場合は気をつける必要があります。  


 また金相場の上昇も著しく、また高値を抜いてきた。しかし1730ドル以上の高値は危険であり、前回のレポートで売りが有効であることをお伝えした。2011年から2015年までの下落に対する、78%戻りを達成しており、一旦は調整すると考えたからだ。今回の上昇は、1560ドルを下回ると高値をつけたという公算が高いと考えており、コロナウィルスの影響が予想しづらい中であるが、テクニカルから考えると今週は高値警戒感から調整相場となろう。下値は1560ドル、上は1720ドルと想定している。もしコロナウィルスの影響が現状より大きくなってしまうようであれば、1800ドル台も予想出来るが、今はその時期ではないと思っている。 

外国為替に関しては、先週も言及したがドル中心の相場が継続しており、コロナウィルスから感染者や死亡者が増加してリスクオフならドル高、また減少傾向が見えるとドル安が軸である。世界的に3月からの明らかな経済指標の落ち込みが徐々に見られており、それらの数値からコロナウィルスからの影響を予測したいと思っている市場参加者は多いだろう。ユーロドルは、先週一旦上に抜けたように見えたチャート形状であったが、再度軟調な展開に戻っておりユーロ自体の影響よりドルの影響が大きいようだ。先週は、ドイツの鉱工業生産指数が予想を下回ったが、それ以外の経済指標はほほ簿予想通り、また米国は、3月小売売上高や鉱工業生産指数が予想以下、4月のニューヨーク連銀製造業指数とフィラデルフィア連銀景況指数が予想を大きく下回った。流石に米国市場での経済指標の時だけは、悪化という結果はドル売りとなるが、中国のGDPや小売りも大きく予想を下回ったがドル安には振れてはいなく、逆にドルが買われる展開となった。投資家、企業や消費マインドが落ち込む中、今後発表の景況感指数等は予想を下回ると予想している。今週は、ドイツと欧州の4月ZEW景況感指数、PMI景気指数発表があり、大きな減少予想に対しての結果が気になるところ。各国の景気指数に対してはネガティブであり、悪い結果となればその国の通貨が下落するということになりそう。米国では金曜日の最後に3月耐久財の受注と4月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表がある。 

全体的にみると、当面は原油相場の下値模索の展開が注目されるだろう。株価に関しては、各国の中央銀行が金融緩和へ大きく動いており、政府も大きな財政支出を模索している中、小動きであろうか。在宅勤務が増え、企業活動が減少する中、遅れている今後の企業決算予想が注目されるだろう。

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