2022年12月第3週目(12日~16日)の相場展望
2022-12-12
年末が徐々に近づくにつれて、相場の動きは全般穏やかになってきた。米国株は、ダウ平均がここ2か月ほどで、安値から約20%上昇したことで利食いが優勢となっている。日本株もほぼ同様の動きとなっている。米国金利は今週のFOMCを睨んで小動きで、調整の範囲内で動いている。今週は米国消費者物価指数と今年最後のFOMCという大イベントを控えて、0.5%の利上げ優勢の中、為替相場も調整の動きが中心の動きとなった。0.75%を予想する向きも2割ほどおり、まだほぼ決定というわけではないが、0.5%となるのが大方の見方。それを織り込むように、もみ合いながらもドル売りは継続している。米国と比較して、欧州は遅ればせながら利上げに積極的な動きが見られており、委員からのコメントでもそれが伺える。反して米国FRBの面々からは、利上げは継続するが幅は調整していく可能性と言及することもあって、ECBより先行している。英国BOEはFRBとほぼ同調しているが、英国の方がやや利上げには強めのトーンという印象がある。それらの差がドル相場に反映されているようだ。
その中で円相場の変動幅は、引き続き大きめで推移しており、ドル円では一日で2円幅程度は維持している。今月2日安値133.61を付けて反発を見せており、第3波動の底レベルでの反転をしたため、137円台後半まで約3日で上昇したが、流石に今週の2大イベントまではやや大人しいレンジ相場となりそうだが、年末に近づいており、本邦企業は年内分の外貨手当をほぼ終えていると思われ流動性が減少していると考えているため、薄い売買注文の中だけに結果後は一時的に大きく振れる可能性がある。ドル円のお10月高値151.91から直近安値133.62の23.6%戻しレベルは、137.85まではほぼ達したがそこから反落し、そのレベルが重い感じになっている。25日移動平均線が139.07まで下げてきており、137円後半とそのラインが抵抗になりやすい。上昇基調に戻るにはこの25日移動平均線が上向きとなることが必須であろう。この線を上向きにするためには、堅調な動きを2週間以上継続することが最低でも必要だと考えられ、大きく下抜けすることはないと思うが、今のところ年末まではやや軟調な展開を想定している。
ドル円日足チャート
金曜日の米国卸売物価指数(PPI)は予想以上に上昇した。PPIは消費者物価指数(CPI)に先行しやすいことから、近い将来のCPIにも影響がありそうだ。ただ数値としては若干の伸びであったこと、また市場がCPIとFOMCの利上げへの警戒感が強いため、双方予想通りの結果になれば年末に向けてリスクオン相場になりやすく、ドルはやや弱含みで株が上昇となる公算を描いている。
今週は前述の13日(火)の米国消費者物価指数(CPI)と14日(水)の夜中に発表されるFOMCの結果次第での相場動向となりそうだ。その他は経済指標等が多く、日本では企業物価指数、鉱工業生産の発表が予定されており、英国で消費者物価指数や小売売上高、欧米英のPM I景況感指数の発表がある。また今週は中央銀行イベントとして米国以外でも欧州ECBと英国BOEの金融政策会合結果が公表される。兎にも角にも年末に近づいた中、薄い相場環境下での重要イベント結果後の急変相場には要注意だ。
注目の中央銀行イベント、経済指標の予想:
・FOMC(米) 0.5%の利上げ予想
0.75%の利上げ予想は25%程度。
・ECB(欧) 0.5%利上げ予想
ECBはインフレ率の2%引き下げを言明していることでほぼ予想通りと考える。
・BOE(英) 0.5%利上げ予想
欧米と共に同幅での利上げ予想、前回までに0.5、0.5、0.75%と8会合連続利上げ
を積極的に行っている。BOEは、量的緩和下で約8300億ポンドに膨らんだ国債保有を減らす狙いで、短期国債7億5000万ポンド(9億1600万ドル)相当を市中に売却した。8回に分けた売却の最終分で、11月1日に始めた計60億ポンドの売却第1ラウンドが完了した。次の国債売却日程は、今回の金融政策委員会後に発表する予定。
・米国消費者物価指数(CPI)
前年同月比予想 7.3%、 CPIコア指数前年同月比 6.1%