米国・欧州経済
2022-12-12
米国経済 ≫ 景気は減速基調を強める
欧州経済 ≫ 物価上昇ペースの加速に歯止めがかかる
11月の消費者信頼感指数(100.2、前月比2.0ポイント低下)は2カ月連続で低下し、ガソリン価格高騰により悪化した今夏以来の低水準となった。特に現況指数は今夏の水準を下回っており、高インフレの持続により消費者の余力が徐々に縮小していることが示唆される。
11月のISM製造業景況感指数(49.0、前月比1.2ポイント低下)は3カ月連続で低下し、コロナ禍以降、初めて活動の拡大・縮小の基準となる50を下回った。主要項目では、生産が50以上で推移しており、増産傾向が続いているものの、新規受注、雇用は50を下回り、財需要や労働需要は弱まっていることが示唆されている。
11月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(前月比26.3万人増)の増勢は鈍化したものの、安定的な雇用増の目安となる前月比20万人を大幅に上回る増加が保たれた。平均時給(前年比5.1%増、前月比0.6%増)は増加ペースを再び強めた。労働参加率(62.1%)も低下し、労働需給のミスマッチ解消が進んでいないことがうかがえる。
10月のユーロ圏失業率(6.5%、前月比0.1%ポイント低下)は2カ月連続で低下し、過去最低水準を更新した。各国ともに低位安定しており、景気の減速基調が強まるなかでも雇用情勢は底堅さが保たれている。25歳以下の失業率(15.0%、同0.2%ポイント低下)も2カ月ぶりに低下したが5月以降は水準を切り上げている。
11月のユーロ圏消費者物価指数速報値(HICP、前年比10.0%上昇、前月比0.1%低下)は17カ月ぶりに前年比の上昇ペースが鈍化した。エネルギーが下落に転じ、サービス価格も抑制され始めたため、食品・エネルギー・酒類・タバコを除くコアHICP(前年比5.0%上昇、前月比変わらず)の上昇にも歯止めがかかった。
11月のユーロ圏景況感指数(93.7、前月比1.0ポイント上昇)は9カ月ぶりに上昇したが、長期平均水準である100を大きく下回っている。業態別の業況指数では、サービス業の低下には歯止めがかかったものの、製造業などの他業態は、横ばいもしくは低下しており、業況が持ち直したとは言い難い。また、物価高騰や電力不足に対する不確実性が低下したことに伴って、消費者信頼感指数(確報値、マイナス23.9)は前月より上昇した。