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原油:OPECプラスは大幅減産を維持し、需給見極めへ

2022-12-08

■ OPECプラスは4日の閣僚級会合で、大幅減産の維持を決定
■ 実際の原油供給への影響は限定的だが、OPECプラスの生産方針には引き続き注目
    石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国から成るOPECプラスは4日に閣僚級会合を行い、10月の会合で決定した生産目標(9月から日量200万バレル減産し、同4185万バレルとする)を当面継続することを決定した。中国など世界の景気減速による原油需要の動向と、西側諸国によるロシア産原油の価格上限措置の影響を見極めようとする動きと解釈される。主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)、オーストラリアは2日、ロシアへの追加制裁として導入するロシア産原油の輸入上限価格を1バレル=60ドルとすることで合意し、5日から開始した。ロシア産の流通が滞る可能性があるが、OPECプラスは増産で補う対応をせず、原油需給に対する制裁の影響を見極める構えだ。次回の閣僚級会合は2023年6月3、4日に開催される予定だが、2カ月に1度開催される共同閣僚級監視委員会(JMMC)が必要と認めれば追加で閣僚級会合を要請・開催することが可能で、OPECプラスは声明で「必要があれば市場安定のため直ちに追加措置をとる」と強調した。

    今回のOPECプラスの決定は実際の原油需給にはほとんど影響を及ぼさないと思われる。国際エネルギー機関(IEA)の11月月報によれば、10月のOPECプラス(イラン、リビア、ベネズエラを除く)の生産量は日量4052万バレルと、減産後の生産目標(4185万バレル)に対しても生産実績が追い付かない公算が大きいためだ。ただ、米エネルギー情報局(EIA)の11月月報によれば、2023年には、原油需要の伸びが一段と鈍化するなか、価格維持を目論むOPEC諸国に加え、経済制裁の効果でロシアの生産が縮小することで、全体の原油需給が概ね均衡する見通しとなっている。原油供給の調整弁としてOPECプラスの役割は大きく、その生産方針には引き続き注目する必要があろう。
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