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英国:MPCを控えて足元の経済指標を整理

2022-12-07

■ 11月の英PMIは2021年1月以来の低水準、複合的要因は雇用情勢にも影響を及ぼし始めた
■ 英中銀は利上げペースを減速するが、引き締め姿勢は当面継続へ

    5日、S&Pグローバル/CIPSが発表した11月の英総合PMI(改定値)は48.2と、新型コロナウイルス感染拡大によってイングランドが全域に都市封鎖を導入した2021年1月以来の低水準を付けた。製造業PMI(同)は46.5と好不況の分かれ目となる50.0を4カ月連続で割り込み、中国、英国、欧州連合(EU)の需要減が響き輸出受注は低下、雇用も2カ月連続で低下した。一方、サービス業PMI(同)は48.8と、生活費高騰やウクライナ戦争、財政緊縮、政治的不確実性などを受けて、過去10年間の最低水準の企業景況感は抑制されているとS&Pは説明。サービス業のなかには、コストの上昇や営業利益率の低下を懸念し、採用の凍結や離職者を復帰させないとの調査回答もあったという。7-9月の失業率は3.6%へ上昇するなど労働市場の先行きに不透明感が漂う。


    12日から始まる週は、10月のGDPや鉱工業生産、8-10月の雇用統計、11月の消費者物価指数、など重要な経済指標の発表が目白押し。英産業連盟(CBI)は5日、個人消費や設備投資の落ち込みによって、景気後退は2023年末まで長期に及ぶと見通し、政府に政策対応を求めている。英国が深刻な景気後退に陥れば、2023年の利下げが必要になるとして、積極的な利上げに慎重姿勢を示すMPCメンバーもいる。ただ、10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比11.1%と41年ぶりの高水準を付けており、英中銀(BOE)は15日の金融政策委員会(MPC)で利上げ幅を11月(75bps)から50bpsに縮小するとの織り込みが進む。利上げペースは減速しても、政策金利の最終到達点は現在の3.00%から2023年の年央をメドに4.50-4.75%とみる向きが多い。2023年2月2日開催の次々回のMPCも踏まえ、政策に関わる新たな指針が示されるか注目。
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