News

国債市場見通し

2022-12-05

■ 【米国債】FOMC で今後の金融政策を見極める展開
■ 【ユーロ圏国債】 変動幅の大きな時間帯は続こう

    11月の米国債相場は反発(利回りは低下)。月初開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて今後利上げペース減速を検討する方針が示され、10月の米消費者物価指数(CPI)の上昇ペース鈍化を受けてこれを織り込む動きが強まった。米10年国債利回りはCPI発表後に低下基調を強め、10月上旬以来となる3.62%台まで低下した。12月は13、14日開催のFOMCで今後の利上げ経路や政策金利の到達点などを見極める展開が想定される。すでに「経済見通し概要(SEP)」での参加者の政策金利見通しの上方修正が示唆され、金利先物市場で5.0%程度への引き上げが織り込まれているため、引き上げ幅が焦点となる。市場では来年後半以降の利下げも織り込まれつつあり、FOMC参加者の見通しとの乖離が修正される場合は、米国債利回りの上昇圧力として作用しよう。
    11月の独国債相場は続伸(利回りは低下)。初旬に独国債利回りは上昇する時間帯もあったが、中旬以降は米物価指標の結果を受けた米利上げペース鈍化の思惑が金利低下圧力につながり、ユーロ圏国債市場に波及した。ユーロ圏では周縁国主導で国債利回りが大きく低下するなか、独10年国債利回りは一時10月4日以来の低水準をつける場面もあった。独国債は2年債と10年債の利回りで逆イールドが示現するなどイールドカーブの平坦化が進む。ただ、域内の景況感関連指標を受けて、足元では来年の景気後退懸念が緩和。賃金上昇ペース加速など、基調的なインフレ圧力が意識されれば、ECBの利上げ加速の思惑などから独10年国債利回りは2%台前半まで上昇余地はあると予想。年末にかけて強弱材料が交錯し、変動幅の大きな時間帯は続こう。
TOP