南アフリカ:現時点での投資は慎重にみたい
2022-11-28
■ SARBは7会合連続の利上げを実施し、政策金利は約7年半ぶりに7.00%へ達した
■ 直近1カ月間の南ア金融市場は堅調に推移しているものの、不安定感は今後も続くと予想
南アフリカ準備銀行(以下、SARB)は11月24日に金融政策決定会合を開催した。7会合連続の利上げが決定され、政策金利であるレポレートは2017年5月以来となる7.00%に達した。利上げ幅の75bpsは市場予想通りとなった一方で、決定は全会一致とはならなかった。票決は75bps利上げに賛成が3票にとどまり、反対の2票はいずれも50bpsの利上げ幅を主張。前回の9月会合では同じ3対2の票決にもかかわらず、反対派は100bpsの利上げ幅を主張していたことと比較して、市場ではSARBの利上げペース減速の思惑が浮上したとみられる。
ただし、先行して利上げ停止に動いたブラジル中銀(BCB)と異なり、SARBは今後も利上げを継続しよう。11月23日に公表された10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比7.6%と、前月(同7.5%)から伸びが加速した。依然、SARBの物価目標(同3-6%)を上回る。また、ハニャホSARB総裁は11月1日に「インフレ期待は目標の中間付近(同4.5%)で固定されていない」との認識を示していた。11月会合後も同様の点に言及しており、物価抑制への意思は揺らいでいないと言えよう。SARBは声明で、一段の物価上振れリスクが高いと示した。一方、SARBは予想経済成長率を下方修正したものの、2025年にかけて1%台前半の成長が続くとの見通しは維持。SARBは景気後退への警戒を保ちつつも、目先は「政策金利-CPI上昇率」で算出される実質金利をプラス圏へ浮上させるまで、利上げを続けるのではないか。
そうしたなか、足元では南ア金融市場への資金流入が観測され、ランドは底堅く推移している。直近1カ月間(10月24日から11月24日まで)で、南アランド相場は対ドルで18.4ランド台後半から16.9ランドちょうど付近へ、ランド高が進んでいる。対円は、8.0円台後半から8.1円台半ばへ強含み。また、同じ期間で、南アの主要株価指数であるFTSE/JSE全株指数はプラス11.2%と堅調なほか、南ア10年国債利回りは11.05%から10.15%まで低下。ドル安が進むなかで、南ア市場に対する注目の高まりがうかがえる。ただし、頻発する計画停電やストライキが内需に与える悪影響に対する警戒感は引き続き高い。南ア金融市場全般の不安定感は、今後も続くと予想する。