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米国株:「逆業績相場」の様相が強まる

2022-11-23

■ 米国株式の相場環境は「逆金融相場」から「逆業績相場」に転換しつつある模様

■ 「金融相場」への転換期待が高まるには時期尚早とみられる


米国株式の相場環境が「逆金融相場」から「逆業績相場」に移行しつつある。これまでは株価収益率(PER)の切り下がりを主因に株価が下落しやすい「逆金融相場」が進展してきたと解釈されるが、景気の先行き不透明感が高まるにつれて予想一株あたり利益(EPS)の下方修正による株価下押し圧力が増してきている。こうしたなか、米連邦準備理事会(FRB)は11月1、2日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースの減速と政策金利の最終到達点(ターミナルレート)の上振れを示唆した。市場では利上げ局面の終了を見据えて、「逆業績相場」への移行が意識されてきたようだ。当該局面では、株価が下落しやすい地合いは継続するが、金融引き締め局面の終了が意識されて予想PERは低下しにくくなり、株安の主因は景気悪化の勢いが増すことによる予想EPSの下方修正に切り替わる。S&P500の2023年予想EPS成長率は今年初めの10%程度から足元では約4%まで水準を切り下げてきており、「逆業績相場」の様相を強めつつある。景気後退が深まるとの懸念が強まれば、予想EPSは急速に切り下がるおそれがあり、一段の株価下振れを警戒したい。

パウエルFRB議長は11月FOMC後の記者会見で、金融引き締めプログラムを利上げペース、ターミナルレートの水準、利上げ終了後の据え置き期間という3つの柱から成り立つと見立てた。市場では利上げペースの減速観測を金融緩和姿勢への転換、いわゆるピボットと解釈して株高の反応となったが、残り2つの柱が健在ななかでのこうした反応はあまりに早計だ。「金融相場」への転換期待が高まるには時期尚早で、こうした弱気相場下の株高は長続きしないと思われる。FRBによる利下げが正当化される経済環境、すなわちインフレの高止まりや労働需給の引き締まりが解消に向かうことが待たれる。
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