日本経済見通し
2022-11-21
■製造業、非製造業ともに堅調だが、外部環境が悪化するなか先行きへの見通しは慎重化
■実質賃金は2000年以降の最低水準が視野に
日本では、経済活動正常化に向けて制限緩和が一段と進められ、景気は底堅く推移している。ただし、外部環境が悪化するなかで、製造業、非製造業の見通しは慎重化し、物価上昇によって家計の実質所得も減少している。
鉱工業生産(8月:前月比3.4%増)がコロナ禍直前の水準を明確に上回るなど、世界的に供給制約が和らぐなかで生産は増勢を強めている。第3次産業活動指数(8月:同0.7%上昇)も3カ月ぶりに上昇し、新型コロナ感染のピークアウトとともに対面サービス業を中心に非製造業も復調した(図表1)。ただし、コスト増や外需低迷により、日銀短観9月調査では、大企業・製造業の業況判断DI(現況:プラス8、先行き:プラス9)は3四半期連続で低下し、先行きにかけての業況改善の勢いも鈍い。また、入国規制緩和など経済活動再開の動きが加速するなか、大企業・非製造業の業況判断DI(現況:プラス14、先行き:プラス11)は前回調査より上昇したが、先行きは現況から低下しており、繰延需要一巡後の回復については慎重な見方が示された。
消費者物価指数上昇率(9月:総合前年比3.0%上昇、生鮮食品除くコア同3.0%上昇)の上昇ペース加速が続いているため、現金給与総額(8月:同1.7%増)は8カ月連続で前年水準を上回るなかでも、実質賃金指数は急速に下降している(図表2)。円安に歯止めがかからず、物価高騰が当面継続することが見込まれ、実質賃金は2000年以降の最低水準に近づいている。
政府は物価高対策を中心に事業規模71.6兆円、歳出規模29.6兆円の総合経済対策を28日午後に閣議決定する予定となっている。10月下旬には先月22日に続いて円買い介入が行われた模様だが、28日に日銀は金融政策の据え置きを決定し、円安の原因である国内外の金融政策姿勢の乖離は一段と明確になっている。
■実質賃金は2000年以降の最低水準が視野に
日本では、経済活動正常化に向けて制限緩和が一段と進められ、景気は底堅く推移している。ただし、外部環境が悪化するなかで、製造業、非製造業の見通しは慎重化し、物価上昇によって家計の実質所得も減少している。
鉱工業生産(8月:前月比3.4%増)がコロナ禍直前の水準を明確に上回るなど、世界的に供給制約が和らぐなかで生産は増勢を強めている。第3次産業活動指数(8月:同0.7%上昇)も3カ月ぶりに上昇し、新型コロナ感染のピークアウトとともに対面サービス業を中心に非製造業も復調した(図表1)。ただし、コスト増や外需低迷により、日銀短観9月調査では、大企業・製造業の業況判断DI(現況:プラス8、先行き:プラス9)は3四半期連続で低下し、先行きにかけての業況改善の勢いも鈍い。また、入国規制緩和など経済活動再開の動きが加速するなか、大企業・非製造業の業況判断DI(現況:プラス14、先行き:プラス11)は前回調査より上昇したが、先行きは現況から低下しており、繰延需要一巡後の回復については慎重な見方が示された。
消費者物価指数上昇率(9月:総合前年比3.0%上昇、生鮮食品除くコア同3.0%上昇)の上昇ペース加速が続いているため、現金給与総額(8月:同1.7%増)は8カ月連続で前年水準を上回るなかでも、実質賃金指数は急速に下降している(図表2)。円安に歯止めがかからず、物価高騰が当面継続することが見込まれ、実質賃金は2000年以降の最低水準に近づいている。
政府は物価高対策を中心に事業規模71.6兆円、歳出規模29.6兆円の総合経済対策を28日午後に閣議決定する予定となっている。10月下旬には先月22日に続いて円買い介入が行われた模様だが、28日に日銀は金融政策の据え置きを決定し、円安の原因である国内外の金融政策姿勢の乖離は一段と明確になっている。