英国:今週は注目材料が目白押し
2022-11-15
■ 英国経済は減速感を強めているが、9月の特殊要因を踏まえ10月以降の景気動向を注視
■ スナク政権は大幅な増税と歳出削減に着手、物価高と景気後退で英中銀の政策は困難を極める
英国では、7-9月期の実質GDPは前期比0.2%減となり、2021年1-3月期以来のマイナス成長となった。単月でみると、7月は前月比0.3%増、8月は同0.1%減、9月は同0.6%減と減速感が強まった。英統計局は、9月はエリザベス女王の国葬で多くの企業が休業したほか、ストライキによる企業活動が影響を及ぼしたと指摘しているが、都市封鎖が導入された2021年1月以来の大幅なマイナス成長を記録。物価高と金利上昇を背景に個人消費は減速しており、10月以降の景気動向が注視される。
ハント英財務相は、持続可能な成長を長期にわたり実現するためには、インフレを抑制し財政均衡と債務削減以外に方法はないとの認識を示した。一部報道によれば、17日に発表される「中期財政計画」では増税と歳出削減に着手、2025年以降の3年間に公共支出を凍結し、2028年までに年間約270億ポンドのコスト削減を検討しているという。一方、家計向けのエネルギー支援策については、無制限の支援は持続不可能だとして見直す姿勢である。
ベイリー英中銀(BOE)総裁は11日、インフレの抑制には1年半から2年を要するとして、今後数カ月で政策金利をさらに引き上げる可能性が高いとの認識を示した。3日の金融政策委員会で25bpsの利上げを支持したテンレイロ委員は、2023年は政策金利を据え置くとの考え。ただし、深刻な景気後退に陥れば、利下げを2024年から2023年に前倒しする必要があると指摘した。今週は物価・雇用関連指標も公表され、BOEの政策指針を占ううえで手掛かりとなる。市場は財政規律を重視するスナク政権を歓迎するムードだが、英国金融市場には注意を払っておきたい。