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株式市場見通し

2022-11-14

【欧州株】業績見通しが急速に下方修正され始めた
【日本株】株価の上値は時間の経過とともに重くなろう

    9月の欧州株は大幅反発。英政府が打ち出した大規模減税と国債増発計画を巡る思惑を背景に神経質な展開が続いた。欧州中銀(ECB)理事会議事要旨(9月7、8日開催分)を受けて、景気後退懸念が強まるなかでも利上げペースが維持されるとの見方から上値は抑えられた。トラス英首相の辞任表明を受けて投資家のリスク選好が改善し、下旬にかけて上値を伸ばした。ECB理事会では75bpsの利上げが決定されたものの、今後の利上げペース鈍化が示唆され、その後の株価は上昇した。ただ、ECB内部での見解の隔たりが大きいことも伝わっており、金融引き締めペースの緩和を手掛かりとした株高の持続性には疑問符がつく。市場ではストックス欧州600指数構成企業のEPS見通しが急速に下方修正され始めている様子がうかがえ、欧州株の投資判断をやや弱気に据え置く。

    10月の日本株は大幅反発。米国で金融引き締めペースを巡る思惑が交錯し、神経質な展開。インバウンド消費に対する期待から内需株が堅調に推移し、日経平均は下値を切り上げたが、中国で新型コロナ感染再拡大が伝わり、200日移動平均線(2万7200-7300円付近)で上値は抑えられた。下旬にかけて同水準を上抜けたものの、上昇の勢いは強まらなかった。中国のゼロコロナ政策は堅持される見込みで、同国からの訪日客による消費増は当面見込み難いほか、同国新指導部の経済政策に対する不安は根強く、日本株の重しとなろう。市場の利益見通しは円安による主力製造業の収益改善やインバウンド消費拡大などに対する期待により、目先は下支えされよう。ただ、来年度の予想EPSは下方修正が優勢となりつつあり、株価の上値は時間の経過とともに重くなるとみる。
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