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2022年11月第3週目(14日~18日)の相場展望

2022-11-14

先週は米国CPI発表前までは静かな相場であったが、CPI後は一変し再度ボラティリティが急拡大した。米株はダウ平均を中心にして、FRBが利上げ幅を緩和するのではという憶測から、また年内のショート筋の買戻しで上昇基調となっていた。CPIが予想通りで反落と見込んでいたが、予想外に下落したことで大幅上昇となった。ショートを維持していた向きも買戻しを急がされ、特にナスダックへの売り持ち保有の向きから買戻しが入ったような動きだった。ナスダックは約7.4%もの大きな上昇となった。CPIの結果としては、全体の消費者物価指数は、前月比予想が0.6%で結果が0.4%、FRBが注目しているコア指数は予想0.5%で結果は0.3%であった。前年比の物価指数はコアでまた7.7%もあるので、FRBがそれほど大きな改善だった、と見ているとは思えない。ただインフレ率がここまで上昇を継続していたのが一服した、もしくは緩和的になったというスタンスの修正があったことは大きいが、株の大きな上昇結果からショート持ちが相当多かったと推測できる。為替に関しても米国債券が買い戻され、金利水準が下がったことで、金利差からドル売りが大きく進んだことで、ドル円は145円台から140円台まで下落している。

株式全般は依然ショートカバーが中心だとは思われるが、日経平均は一目均衡表の雲上限(先行スパンA)に遅行線が接近しており、もしこのままの水準を保ち横ばいから堅調を維持すると、遅行線が先行線Aを上に突破することになって、短期的には騙しの可能性が少ない上昇トレンドの可能性が大きくなりそうだ。今後はこの遅行線の動きに注目したいところ。先週金曜日にSQ値が決定し、28200台となった。来月はメジャーSQなので一波乱の可能性も秘めており、上昇でこれまでのオプションプットを買っている向きが慌てて買い戻す展開も考えられる。既に11月物のオプション建玉、特にプット買い持ちは12月物に乗り換えられており建玉が増加している。29000円前半までの伸びの可能性が考えられる。また139円台に入り円高基調になっていることで、海外投資家が元々割安の日本株への投資に妙味を示してくれば、長期的な買いも期待できる。年末に掛けては、日経は下落より上へのリスクが大きいだろう。それもこれも米国株に引っ張られる動きとなるが、ナスダック指数は先物で10月の高値を更新しておりダブルボトム形状に近い形を作っており、12000ドルへの回復が期待されることもあって強含みの展開が続きやすい。


JP225(日経平均指数)の日足




ドル円は、米国CPIの発表後に大きく下げ140円台に入った翌日も軟調推移は変わらず、金曜日には安値138.46まで下げた。数か月間上向きだった25日移動平均線は下向きに転じ、75日移動平均線をも下回った。本日月曜日の午前中時点では、一目均衡表の雲の中139円台で推移している。雲の下限が138.05付近であり、ここは一旦の下値目途となりそうだ。雲をしっかりと下に抜けると中長期的な上昇トレンドが崩れる可能性も否定できないが、下落トレンドに転換したとは明確には言えないところだ。今年の3月から大きな値幅で上昇していたのと年末に差し掛かるタイミングで利食いが出るのは予想されていた。米国CPIの軟化に伴って日米の金利差が縮小したことに連動している。一時的に一目均衡表の雲を下抜けてもすぐ戻るようなら、上昇トレンドに変化はまだないと考えている。RSI14は30割れ、ストキャスティクスは両線ともに20を割っていて、短期的には割安感が出ている。グリーンラインがレッドラインを上回ると、このテクニカル上では買いサインが点灯する。そのゴールデンクロス後に、一目均衡表上でも75日線を上に抜けると堅調トレンドに戻る可能性が大きいだろう。片方の条件下では心もとなく、明確なトレンドとはならないだろう。


ドル円日足チャート




今週は引き続き物価動向やFRB委員からのコメントが注目される。米国CPI結果からのインパクトが大きかったことで、火曜日に発表される米国卸売物価指数(PPI)の結果も気になる指標となってくる。米国ではまた住宅着工件数や中古住宅販売件数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数や小売売り上げ、NAHB住宅市場指数の発表もある。欧州ではドイツとEUのZEW景況感指数とフランス消費者物価指数、ユーロ圏の消費者物価指数、中国では、鉱工業生産と小売売上高の経済指標がある。日本で相場に影響を及ぼしそうな経済指標で、10月の消費者物価指数の発表が予定されており、日銀の政策スタンスに影響を及ぼす数値が出るのか注目されている。米国CPIという大きなイベントを通過した後だけに大変動の余韻は残るが、そろそろ季節的に徐々に年末に差し掛かってくるタイミングで、欧米で感謝祭やクリスマスを控え、やや調整的な意味合いの相場となるかもしれない。
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