ブラジル:大統領選挙後も、政治リスクは残る見込み
2022-11-11
■ 大統領選挙は左派のルラ候補が勝利したが、議会第一党は右派自由党と、「ねじれ状態」に
この間、最も注目されたイベントは、10月30日に実施された大統領選挙・決選投票だった。事前の予想通り、左派のルラ候補(元大統領)が右派のボルソナロ候補(現大統領)を僅差で破った。得票率はルラ候補50.9%、ボルソナロ候補49.1%と高等選挙裁判所は発表。今後は来年1月1日の新大統領就任に向けて、閣僚人事の選定や政策策定に市場の目が向く。そうしたなか、ルラ新大統領は決選投票に向けた支持率向上のために「中道左派連合」を形成していたことから、今後は中道寄りの方針を政策に盛り込む必要があるとみられる。こうした見方が金融市場では好感され、ブラジル市場の底堅い値動きにつながっていると言えよう。
ただし、10月2日に実施されていた連邦議会選挙の結果を見る限り、左派と右派の対立は今後も続くと見込む。上下院とも、ボルソナロ氏率いる自由党(PL)が選挙後の獲得議席数シェアトップ(上院:17.3%、下院:19.3%)となり、左派の新政権とは「ねじれ状態」にあるためだ。ルラ新政権は法案可決のため、議会内右派の協力を取り付ける必要がある。また、ブラジルは政府総債務残高(対GDP比)が2020年時点で98.68%へ上昇しており、新政権は債務削減方針の引き継ぎも求められる。ルラ新大統領は憲法の歳出上限規定撤廃を公約しているが、今後も「財政健全化と景気回復の両立」という観点で、金融市場の注目を集めよう。
なお、ブラジル中銀(BCB)は10月26日に開催された金融政策委員会(COPOM)で、政策金利を13.75%に据え置いた。ただし、11月1日に公表した同議事要旨では、主に財政要因を背景として、物価の上振れリスク注視の姿勢を維持することも確認された。当面利下げが行われる可能性は低いだろう。ブラジルは相対的に他の新興国よりも優位にあるとみているが、折に触れて政治動向などから不安定な局面は訪れると認識しておきたい。
■ 今後も「財政健全化と景気回復の両立」に注目が集まるなか、左派と右派の対立が続く見通し
この間、最も注目されたイベントは、10月30日に実施された大統領選挙・決選投票だった。事前の予想通り、左派のルラ候補(元大統領)が右派のボルソナロ候補(現大統領)を僅差で破った。得票率はルラ候補50.9%、ボルソナロ候補49.1%と高等選挙裁判所は発表。今後は来年1月1日の新大統領就任に向けて、閣僚人事の選定や政策策定に市場の目が向く。そうしたなか、ルラ新大統領は決選投票に向けた支持率向上のために「中道左派連合」を形成していたことから、今後は中道寄りの方針を政策に盛り込む必要があるとみられる。こうした見方が金融市場では好感され、ブラジル市場の底堅い値動きにつながっていると言えよう。
ただし、10月2日に実施されていた連邦議会選挙の結果を見る限り、左派と右派の対立は今後も続くと見込む。上下院とも、ボルソナロ氏率いる自由党(PL)が選挙後の獲得議席数シェアトップ(上院:17.3%、下院:19.3%)となり、左派の新政権とは「ねじれ状態」にあるためだ。ルラ新政権は法案可決のため、議会内右派の協力を取り付ける必要がある。また、ブラジルは政府総債務残高(対GDP比)が2020年時点で98.68%へ上昇しており、新政権は債務削減方針の引き継ぎも求められる。ルラ新大統領は憲法の歳出上限規定撤廃を公約しているが、今後も「財政健全化と景気回復の両立」という観点で、金融市場の注目を集めよう。
なお、ブラジル中銀(BCB)は10月26日に開催された金融政策委員会(COPOM)で、政策金利を13.75%に据え置いた。ただし、11月1日に公表した同議事要旨では、主に財政要因を背景として、物価の上振れリスク注視の姿勢を維持することも確認された。当面利下げが行われる可能性は低いだろう。ブラジルは相対的に他の新興国よりも優位にあるとみているが、折に触れて政治動向などから不安定な局面は訪れると認識しておきたい。