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米国株:米中間選挙後の株高アノマリーは期待薄か

2022-11-09

■ 米中間選挙では共和党が下院の過半数を獲得する公算が大きい

■ 米中間選挙後の株高アノマリーが財政拡大への思惑によるものであれば、今回は期待薄か


8日に投開票が行われる米中間選挙では、野党・共和党が下院の過半数を獲得する公算が大きく、上院の多数派を与党・民主党から奪うかが焦点になる。米選挙分析サイトのファイブ・サーティー・エイト(11月7日時点)によれば、共和党が過半数を獲得する可能性に関して、下院は84%、上院は58%と共和党優勢となっている。中間選挙は現政権の政策が評価されるため、与党に厳しい結果が出る傾向が強い。少なくとも下院で共和党が多数派となれば、大統領の所属政党と上下院の多数派党が異なる「ねじれ」となり、バイデン政権は議会を通じた政策遂行が難しくなり、大統領令に頼ることとなろう。バイデン政権が提出する法案の成立が困難になるとみられ、2023年以降は連邦債務上限引き上げを巡る駆け引きが金融市場のリスク要因として再浮上する公算が大きい。

米国株式市場では、民主党が推進する政策が重しとなってきたセクターには恩恵が及ぶと思われる。具体的には、薬価引き下げや超過利潤課税に対する懸念が和らぎ、ヘルスケアセクターやエネルギーセクターには追い風となりそうだ。また、中間選挙後に株価が上昇しやすい経験則(アノマリー)がある。その背景には、次の大統領選挙に向けて積極的な財政拡大が行われるとの思惑があるとみられる。ただ今回は、新型コロナ対策として大規模財政支出がすでに実施されており、足元の高インフレの主因ともされていることから、アノマリーが実現する公算は小さい。むしろ、景気後退リスクに伴う企業業績見通しや米連邦準備理事会(FRB)による利上げの行方がより株価に大きな影響を及ぼすと思われる。

なお、米調査会社ギャラップによる世論調査(10月3日-20日)によれば、期日前投票を実施予定か実施済みの民主党支持者は54%と、共和党(32%)を大きく上回っている。期日前投票は開票までに時間がかかるとされ、開票当初の勢力図が時間の経過とともに変化する可能性がある。2020年の大統領選挙では共和党の優勢が消えていったことから、「赤い蜃気楼」と呼ばれた。開票結果に関する両党の優劣を早計に判断することなく、開票作業をじっくりと見守る必要があろう。
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