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米国・欧州経済

2022-11-08

米国経済 ≫ 企業活動の拡大ペースは鈍化
欧州経済 ≫ 成長ペースは急減速したが、プラス成長を維持


1、2日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利が0.75%引き上げられ、3.75-4.00%へ設定された。声明文に「これまでの金融引き締め政策、遅行して表れる経済、物価に及ぼす影響、経済金融市場の動向を考慮する」と加えられ、今後の利上げペース鈍化を示唆した。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見では、政策金利の最終到達点が従来見通しよりも引き上げられる可能性が高いことが指摘された。

10月のISM景況感指数は、製造業(50.2、前月比0.7ポイント低下)が2カ月連続で低下した。新規受注が2カ月連続で50を下回る一方、入荷期間、受注残高、販売価格も50を割り込み、需要減少と供給制約緩和を示唆する。非製造業(54.4、同2.3ポイント低下)も大幅低下した。雇用が3カ月ぶりに縮小を示す50割れとなり、労働市場の調整が進展しつつあることがうかがえる。

10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(前月比26.1万人増)は2021年以降では最小の増加となり、失業率(3.7%)は2カ月ぶりに上昇した。平均時給(同0.4%増)は増勢を強め、労働集約的な業種を中心に高い賃金上昇が続いている。

7‐9月期のユーロ圏実質GDP速報値(前期比0.2%増)は2021年4‐6月期以降で最も低い成長率にとどまり、成長ペースは急減速しているものの、プラス成長は保たれた。天然ガス供給が懸念されるドイツ、イタリアなど、主要加盟国でプラス成長が続いていることが確認された。

9月のユーロ圏失業率(6.6%、前月比0.1%ポイント低下)は、前月分が上方修正されたため、5カ月ぶりに統計開始以来最低を更新した。ただし、25歳以下の失業率(14.6%、同0.2%ポイント上昇)は6月以降緩やかな上昇傾向にあり、景気減速感が強まるなかでも、若年層では労働市場が調整しつつある。

10月のユーロ圏消費者物価指数速報値(HICP、前年比10.7%上昇)は上昇ペースが加速し、統計開始以来最も高い伸びを更新した。食品・エネルギー・酒類・タバコを除くコアHICP(同5.0%上昇)も上昇ペースが加速した。内訳をみるとすべての主要項目で上昇ペースが加速しており、エネルギーだけではなく、基調的な物価の上昇圧力も強まっていることがうかがえる。

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