News

2022年11月第2週目(7日~11日)の相場展望

2022-11-07

FOMCでは、予想通り0.75%の利上げを決定した。その後の定例記者会見でパウエルFRB議長は、「政策金利について、現在の予想よりも高い水準を目指している可能性がある」と述べたことを受けて米国市場金利が上昇した。FOMCの翌日にかけてFF金利先物市場は、FRBが来年3月までにFF金利を5%に引き上げ、来年中はほぼその水準を維持するとの予想を織り込んでいる。今回利上げ後の政策金利は3.75-4%であるため、高値までは現在の金利から1.25%ほど上昇する予想となっている。ただ委員の面々からは、12月以降の金利引き上げ幅を縮小すべきだという意見が散見され、前週に利上げを織り込む形で下げていた株価は金曜日に持ち直して、週間では行ってこいの展開。また金、原油共に大きく上昇している。為替に関しては、ドル安が大きく進行してドル指数は15年ぶりの大きな下げを記録し、ドル円は、146円台に沈み、ユーロドルは0.99まで回復している。

12月のFOMCで予想されている利上げ幅は、0.5%利上げが約56%、0.75%が約44%と分かれている。来年の半ばまでの政策金利予想は5-5.25%が最も多く、現状の金利水準から1.25%上になってくる。仮に12月に0.5%利上げを行うと、残りは0.75%となる。その1.25%を2回に分けるより、3,4回に分けて行うべきという意見が委員から出始めたということだ。金利の高値に関しては今後のインフレ動向や景況感次第となってくる。金利上昇がインフレや消費に対して、遅れて効果が出てくるので、目標金利迄の利上げ幅を細切れにし、景況感とインフレを鑑みながら調整したいのではと考える。今年は年を通してロシアのウクライナ侵攻をきっかけに米国株の大きな下落があったが、年末までは大きな波乱を織り込んでしまっただけに、株価の上昇ラリーを予想している。背景には、中国が共産党大会を終え習近平の安定政権が確保されたことで、ゼロコロナの緩和が予想されていることが大きい。貿易の制限は継続となるが、ハイテク部品や消費財などの生産が増加してくると期待している。また欧州では、ロシアからの燃料輸入懸念が台頭しているが他の国からの供給に幾らかの目途が立ったことも大きな要素の一つであろう。コロナ感染に関しても、次の感染拡大を予想する向きが多いが重症患者は減少していることは好感されるだろう。

先週のドル円は、ドル売り要因から売りが優勢の展開で終始した。146円台で終了しているが、週明けの今日は147円台に戻っている。国内の輸入勢の実需買いが多いと思われる。短期筋は円売りポジションが縮小しており、一旦下がっても輸入の実需が下値をサポートしそうだ。先週は大きなイベントを通過して一旦ドル売りで利食いが先行したと考えられ、大きな流れが変わったとは思えない。短期ポジションの調整が主なドル売りの要因かと思われる。ドルの水準は今後の米国利上げ幅や利上げペース次第かと思われるが、パウエルFRB議長は、政策金利の高値水準を上げる可能性を指摘しているだけに、これからドルが下げ続けるとは思えない。しかし短期モメンタムからはパラボリックがドル売り基調となっている。チャート形状からは、75日移動平均線は上昇継続、25日移動平均線もゆるやかな上向きで推移、また5日線は下げの形で25日線とデッドクロスする可能性が浮上してきたことが短期売りの形状が強い。上値は5日線が抵抗となりやすく、下値は先週安値の145円半ばとなる。もしこの2線がデッドクロスとなると安値トライの形になる可能性を秘めている。米国のCPI発表後にもし急落が無い場合は、短期売買目的なら145円後半から146円台前半は一旦買いから入っても良いだろうが、今週中に限っては、147円半ばから上で売りポジションを持った方が分は良いのでは、と考える。5日線が上向きになると売り方は警戒、下向きを継続している間は保有しても良いだろう。


ドル円日足チャート




今週の大きなイベントは、米国の中間選挙とCPIである。その他では日本の企業物価程度である。今週の大きな注目イベントはそれ以外にはあまりなく、相場に直接関係あるのは米国CPIであり、この発表に最も注目が集まりそうだ。結果次第でドル安が継続するのか、もみ合いに転じるか、はたまた再度ドル買いに戻ってしまうのか、妙味は尽きない。
TOP