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RBA理事会レビュー:久しぶりの「無風通過」に

2022-11-03

■ RBAは市場予想通りに25bpsの利上げを決定し、政策金利は2013年5月以来の高水準に

■ 経済成長見通しを下方修正、物価見通しを上方修正したが、追加利上げには柔軟な方針を維持


   豪中銀(RBA)は11月1日の理事会で、市場予想通り政策金利を25bps引き上げて2.85%とした。これで2013年5月以来(3.0%)の高水準となる。また、理事会終了後に公表された声明では、前回に続いて、追加利上げを示唆する文言(The Board expects to increase interest rates further over the period ahead)が確認された。

   今回の声明では、RBAが経済成長見通しを下方修正、物価見通しを上方修正している点も確認された。この流れ自体は、他の主要先進国と同じ傾向にある。つまり、前者は今年8月時点で「2022年:3.25%、2023年と2024年:1.75%」だった見通しを「2022年:約3%、2023年と2024年:1.5%」とした。後者は、今年10月時点で「2022年:7.75%前後、2023年:4%強、2024年:3%前後」だった見通しを、「2022年:約8%、2023年:4.75%前後、2024年:3%をやや上回る」とした。ただし、2022年内に物価上昇率がピークをつける見通しは、変えていない。

   直近に公表された経済指標では、7-9月期の豪消費者物価指数(CPI)上昇率が前年比7.3%と、約32年ぶりの伸びへ一段と加速していた。また、9月の豪小売売上高は351億豪ドル(前月比0.6%増)と過去最高を更新し、高インフレの中でも堅調な消費動向が確認されている。RBAは「金融政策にはタイムラグがある(The Board recognises that monetary policy operates with a lag)」と景気全般に対する慎重姿勢を崩していない一方で、「多くの家計は大きな金融バッファーを築いている(Many households have also built up large financial buffers)」と、現時点での個人消費の堅調さには自信を示している。

   短期金融市場では、来年上期にかけて政策金利は3.85%まで引き上げられるとの織り込みが維持されている。総じて、今回のRBA理事会は久しぶりの「無風通過」と整理できよう。当行は、来年5月にかけて理事会ごとに25bpsずつの利上げ実施が継続すると予想。一方、ロウRBA総裁は1日の講演で、「必要に応じて利上げを加速させたり、一時的に停止する用意がある」と述べた。RBAは柔軟性を確保したまま、追加利上げを継続していく方針とみられる。

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