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カナダ中銀BOC:利上げペースはさらに鈍化へ

2022-10-28

■ 引き締め姿勢を堅持しつつ、利上げサイクルは最終局面に向かい始めた

■ 年後半の景気減速やテクニカルリセッションを見込み、12月利上げ幅は25bpsに縮小へ


    26日、カナダ中銀(BOC)は政策金利を50bps引き上げ3.75%とした。6会合連続の利上げによって政策金利は14年ぶりの高水準となった。3月以降の利上げ幅は350bpsとなったが、7月(100bps)、9月(75bps)に続き縮小傾向をたどる。マックレムBOC総裁は、「現在の引き締め局面は終わりに近づきつつある」と発言。利上げペースは金融引き締めによる需要減少の度合いや、インフレとインフレ期待に左右されると指摘した。今後の政策金利の道筋については、さらに上昇する必要があると予想しつつも、「より通常の利上げ幅とされる25bpsにシフトする可能性もある」と明示した。9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比6.9%と中銀目標(1-3%)を上回る状況が続くが、ガソリン価格下落を背景に6月(同8.1%)をピークに3カ月連続で鈍化した。

    同時公表の金融政策報告では、経済・物価見通しを前回(7月時点)から下方修正。GDP成長率は2022年が3.5%から3.3%、2023年は1.8%から0.9%にそれぞれ引き下げられ、2022年10-12月期から2023年4-6月期にかけて、2四半期連続のマイナス成長(テクニカルリセッション)に陥る可能性があるとした。インフレ率については、2022年が7.2%から6.9%、2023年末は4.6%から4.1%にそれぞれ引き下げられ、2024年は2.2%と中銀目標(1-3%)に戻る見通し。個人消費と設備投資の伸び鈍化や輸出の減少を見込み、金融政策の軸足を景気にシフトしていくことが示唆された。短期金融市場では、12月7日の次回会合で利上げ幅は25bpsに縮小、政策金利の最終到達点は4.25%を織り込む動きとなっている。なお、2023年1月25日開催の会合からは会合の2週間後に議事要旨にあたる「要約」が発表される。市場との対話を重視することで、市場急変を回避する目論みだ。

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