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ドル円:150円台乗せを試すのは時間の問題だろう

2022-10-19

■ 「10月13日に為替介入実施」との見方も浮上したが、ドル円はその後、149円台まで一段高
■ ドル円は短期的に米金利動向次第の見方が強まるとみており、150円台を試す可能性は高い

  直近のドル円相場は、日本当局(財務省と日銀)による為替介入に対する警戒感と米金利上昇の思惑に挟まれながら、ジリジリと上昇している。本稿では、10月13日に為替介入が実施された可能性と、ドル円相場と連動性の高い米2年国債利回りの相関関係を取り上げる。

  振り返ると、10月13日はドル円が1998年8月高値(147円63銭)を上抜けた日だった。この日公表された9月の米消費者物価指数(CPI)を巡って市場の注目は高く、日本時間午後9時30分の当指標発表以降にドル円は147円67銭まで上昇。その後は146円48銭まで急落する場面もあったが、即座に持ち直すと、週明け18日には149円台まで一段高となった。

  為替市場の売買は原則2営業日後の決済のため、10月13日の売買は決済が10月17日となる。そこで10月17日の日銀当座預金残高の確報をみると、事前に複数の短資会社が試算した金額よりも「財政等要因」が1兆円程度下振れていた。上記の値動きと合わせて考えると、10月13日に日本当局が介入を実施していたとの見方が浮上している。本稿執筆時点で、財務省は介入の有無を明言しておらず、詳細は10月末公表の為替介入額を確認する必要はある。ただ、仮に日本当局が覆面介入を実施していたとなれば、その後の値動きから、為替介入によってドル円上昇を抑制する効果は著しく小さかったと推測できる。

  ドル円が149円台まで上昇した背景としては、10月15日にバイデン米大統領からドル高容認発言が飛び出したことが挙げられる。他に、堅調だった9月の米雇用統計と米物価指標を受けて、来年の米ターミナルレート(利上げの最終到達点)が4%台後半(9月下旬時点)から5%付近まで上昇したこともあるが、いずれにせよ米国発の材料だ。10月入り後のドル円上昇は、ドル高の影響が大きいと整理している。そこで、米2年債利回りの相関関係からみたドル円相場の水準を確認すると、手元の試算では同利回りが4.6%台まで上昇すれば、ドル円は150円に到達となる。同利回りが5%台まで上昇すれば、153円台半ばへ達するとの試算だ。

  目先は米金利の値動きを受けたドルの動向が、ドル円に大きく作用する時間帯が続くと予想する。また、このままでは「追加介入実施はドル円の絶好の買い場」とする市場参加者の見方が強まる事態も想定され、為替介入の効果は一段と小さくなるとみる。米金利が一段と上振れる可能性は高く、ドル円が150円台乗せを試すのは時間の問題だろう。
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