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2022年10月第3週目(17日~21日)の相場展望

2022-10-17

米国CPIの結果は、コア指数が40年ぶりの上昇率年6.6%となって相場を攪乱した。米国の10年債利回りは一時4.08%まで跳ね上がったが、結局は3.94%まで下げて終わった。安全資産で堅い相場付きの債券相場が乱高下した。ダウ指数は結果を受けて大きく下げ一時は4%近く下げたが、ショートカバー中心に反発し、結局約2.8%の上昇で引けた。リーマンショック前のチャートの動きと同様な基調であったが、今回の大きな戻しでそれとは乖離し始めたと考えている。また為替相場はドル高から始まったが徐々にドル売りが優勢となり、ドルだけで見ると安く引けている。ユーロドルやポンドドルは比較的大きな上昇となった。ただドル円は円安傾向となり、147円台半ばまで上昇した。結果としてユーロ円やポンド円などクロス円の上昇が顕著となり、株高と円安の連動性が戻ってきたような一日であった。米国債券価格の乱高下を見るとやや下落が落ち着いた株価であるが、相場全般の変動率が収まるには時間が掛かるだろう。今は方向性以上に、ボラティリティの動向を読むことが相場に勝つ重要な情報源となり得るだろう。

また金曜日に発表された米国ミシガン大学消費者態度指数では、1年、5年先のインフレ期待がそれぞれ上昇し、それを受けてドル台が進んだ。円安傾向が強まっていな最中にドル高要因が加わったことで、ドル円は147円台から一気に148.83付近まで上昇した。政府筋は介入へのコメントが相次いでおり、金曜日には覆面介入の憶測も上がってきた。日本時間の仲値決定以降に介入が実施されるのか、それとも150円の節目手前での防戦売りとして行うのか、市場は様々な思惑の中でも、実施までは堅調推移が予想される。もし行うにしても今回も単独介入とされるだろうし、2回目ということで市場にはやや免疫もあることで、介入資金にもよるが前回と同様2~3兆円となれば、前回より小さな下げに終わる可能性が高い。3円程度の下げで終わるかもしれない。チャートからは、142.00付近まででサポートされると予想しているが、介入規模や各国の思惑で動きは助長されるかもしれない。円相場だけは介入の可能性があるだけに、予想は難しいが短期的には150円を突破する可能性は依然大きいと考える。

ドル円日足チャート


先週英国の中銀BOEのベイリー総裁が緊急国際買い入れ措置を延長しない方針を示したことでポンド売りとなったが週末に掛けて値を戻している。英国は米国と違い、ポンドがドル要因によって大きく振らされるので、外為の側から輸入物価を抑えることが出来ず、インフレを抑える手立ては米国とは違う。よって英国は金利だけでなく、為替の値まで気に掛ける必要があり、非常に難しい舵取りとなっている。よってポンド相場の変動率も大きく、ヘッジファンドによる下への仕掛けなどが出やすい。チャートからは5日移動平均線が上向きになったことで簡単に下がる形状とはなっていないし、むしろ下値が堅くなる形となりやすい。9月26日に付けた1.0362の安値から約900ポイント戻しており、上値抵抗は1.1500付近にあり、次に75日移動平均線と一目均衡表の雲下限のラインが1.16台後半にあり、これらのラインが少しずつ下がっていることで、今週中1.1600台からは重さが出て、1.1700付近からは売りが増えそうな形である。下値は1.0922を下抜けると軟調方向へ変化しやすく、安値が視界に入ってくると考える。5日移動平均線の方向によって、売りか買いかのどちらかで入るか見極めるのが良いだろう。

ポンドドル日足チャート


先週までの大きなイベントを通過し、今週は中国の共産党大会が開催されることで、世界経済にとっては、そこが一つの焦点となる。また英国での財務相解任に関する問題や、イングランド中銀がポンド安に対しての国債買い入れに関する動きも注目される。円相場は政府からの介入実施の有無如何で動きが変わってくる。欧州ではドイツやユーロ圏のZEW景況感指数や米国の地区連銀経済報告(ベージュブック)や住宅関連指数に注意が必要であろう。
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