2022年10月第2週目(10日~14日)の相場展望
2022-10-11
先週は、それまでのリスクオフ一辺倒の雰囲気に変化が見え始め、オーストラリア中銀が予想を下回る利上げ幅の0.25%としたことで、世界各国の中銀も景気後退に対しての警戒感が強まるという思惑が働き、それまで大きく下がっていた株価は全般上昇した。下げも急で大きかったが、戻しの上げの場合も急騰となり、依然高いボラティリティを維持した相場付きで乱高下となった。株価は戻ったとはいえ、波乱の要因は尽きず、最近スイスのクレディスイスは今年の損失額が30億ドルまで膨らむ可能性があると、格付け会社のムーディーズが警告した。昨年から多くの損失に見舞われる事象が続いており、関係ヘッジファンドの破綻などで昨年度も大きな損失があった。円安やポンド急落、各国の止まらないインフレと各中銀の利上げが続いており、景気後退も余儀なくされる状況下、このような破綻の思惑が台頭すれば市場は大きく揺さぶられる。リーマンショックの二の舞にならぬよう、クレディスイス側は資産売却に動いており、余裕資金の確保を急いでいるようだ。しかしここが起点となり、クレディスイスが資産を売却となると株価も売るわけで、下がる株価によって他のヘッジファンドや金融機関もポートフォリオが痛んでくる。いわゆる連鎖反応への不安が今後台頭してくるだろう。直近まではなんとか中央銀行がマネーをコントロールし、景気の高揚と株価の上昇など好循環を演出することが出来ていたが、大きすぎるマネーの放出が今になって仇となり、コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻などによってコントロールが効かない動きとなってきた。ヘッジファンドの中には先進国の中銀は、今後経済情勢をコントロールするのが難しくなってくるという思惑の中、余剰マネーはリスク回避への投資に加えて投機的な売買も仕掛けようとしていると思われる。
ドル高一辺倒な為替相場であるが、日本やスイスのドル売り介入、英国のポンド安に対しての動き、またECBもユーロ安に警笛を鳴らしている。米国はこれまで強いドルに関しては黙認し、中間選挙を控えインフレを止めるため輸入物価を下げたい思惑があったようだが、ここにきてイエレン財務長官がFRBの急速な政策金利引き上げなどを背景にドル高が進んでいるなかで、「為替変動がもたらす潜在的な影響に留意している」と述べた。「市場で決まる為替レート」を支持するとしつつ、途上国や新興国からの資金流出につながる過度なドル高への懸念を示唆しているということで、これまでのコメントから変わっており、ドル高を気にし始めていることで、今後もドルが上昇基調を継続するとなると、協調介入まで頭に入れる必要があるだろう。その鍵となりそうなのが欧州ECBであり、ドルに次ぐ外貨流通量を誇っているため、ファンダメンタルからかけ離れ、またユーロに投機的な動きがある場合は為替相場に関して何らかの協調的な動きが出る可能性がある。但し、ドル高基調であってもゆっくりしたドル高進行や株価が堅調な場合は、協調的な動きとはなりにくいであろう。
直近のドル円はドル売り介入後は幾分静かになった。介入によって146円付近から140円台まで下げたが、単独介入だったこと、その後も日銀は債券購入のオペレーションを引き続き行っていること、また市場の憶測で介入資金には限度があるなどを見透かされており、先週はゆっくりとじり高の動きとなった。本日は既に146円の高値更新を狙いにいく動きとなっており、引き続き介入に警戒しながらゆっくりとした上昇基調を保っている。前回の介入レベルにはほぼ達しているから、市場は再度の介入があるのかじり高を保ちながら試している雰囲気がある。146円以下での介入が無ければ、146円に乗せたところでやや上昇に弾みが付くと思われる。次は節目の147円となり、そこに向かって上昇基調を続けていくだろう。1998年に付けた147.66銭は一応のターゲットとなり得るだろう。その時はアジア通貨危機の真っただ中で、現在とは違う状況だったが、同じくドル高が進行しており協調介入を行った経緯がある。
そのじり高基調に戻ったドル円は時間と共に上昇する可能性が大きい。節目の147.00が最初のターゲット、次いで147.66、その後は節目ごとの目標が設定されるだろうから、損失確定の買いも50銭か1円ごとの設定が増えてくると思われる。下値は25日移動平均線が一応の目安になる、一瞬下抜け程度ではこのラインが下向きにならない限り、ラインの上に戻しやすい。ただストキャスティクスが下にデッドクロスしてくると短期の調整で1円程度の下げ迄は考えられる。143円を割れて大きく抜けるようなら調整場面となってくると予想する。
ドル高一辺倒な為替相場であるが、日本やスイスのドル売り介入、英国のポンド安に対しての動き、またECBもユーロ安に警笛を鳴らしている。米国はこれまで強いドルに関しては黙認し、中間選挙を控えインフレを止めるため輸入物価を下げたい思惑があったようだが、ここにきてイエレン財務長官がFRBの急速な政策金利引き上げなどを背景にドル高が進んでいるなかで、「為替変動がもたらす潜在的な影響に留意している」と述べた。「市場で決まる為替レート」を支持するとしつつ、途上国や新興国からの資金流出につながる過度なドル高への懸念を示唆しているということで、これまでのコメントから変わっており、ドル高を気にし始めていることで、今後もドルが上昇基調を継続するとなると、協調介入まで頭に入れる必要があるだろう。その鍵となりそうなのが欧州ECBであり、ドルに次ぐ外貨流通量を誇っているため、ファンダメンタルからかけ離れ、またユーロに投機的な動きがある場合は為替相場に関して何らかの協調的な動きが出る可能性がある。但し、ドル高基調であってもゆっくりしたドル高進行や株価が堅調な場合は、協調的な動きとはなりにくいであろう。
直近のドル円はドル売り介入後は幾分静かになった。介入によって146円付近から140円台まで下げたが、単独介入だったこと、その後も日銀は債券購入のオペレーションを引き続き行っていること、また市場の憶測で介入資金には限度があるなどを見透かされており、先週はゆっくりとじり高の動きとなった。本日は既に146円の高値更新を狙いにいく動きとなっており、引き続き介入に警戒しながらゆっくりとした上昇基調を保っている。前回の介入レベルにはほぼ達しているから、市場は再度の介入があるのかじり高を保ちながら試している雰囲気がある。146円以下での介入が無ければ、146円に乗せたところでやや上昇に弾みが付くと思われる。次は節目の147円となり、そこに向かって上昇基調を続けていくだろう。1998年に付けた147.66銭は一応のターゲットとなり得るだろう。その時はアジア通貨危機の真っただ中で、現在とは違う状況だったが、同じくドル高が進行しており協調介入を行った経緯がある。
そのじり高基調に戻ったドル円は時間と共に上昇する可能性が大きい。節目の147.00が最初のターゲット、次いで147.66、その後は節目ごとの目標が設定されるだろうから、損失確定の買いも50銭か1円ごとの設定が増えてくると思われる。下値は25日移動平均線が一応の目安になる、一瞬下抜け程度ではこのラインが下向きにならない限り、ラインの上に戻しやすい。ただストキャスティクスが下にデッドクロスしてくると短期の調整で1円程度の下げ迄は考えられる。143円を割れて大きく抜けるようなら調整場面となってくると予想する。
ドル円日足チャート


今週は何といっても米国のCPI消費者物価指数の発表が中心となる。前回9月13日発表されたCPIでは、物価上昇率が予想を上回ったことで、FRBによる大幅利上げが強まり11月の0.75%利上げが台頭した。ダウ平均株価は1276ドル(約4%)の急落となり、翌日の日経平均も800円と大きく下げた経緯があるため非常に重要だ。その時ドル円は144円後半に急伸している。今回の発表前も、金曜日の米国雇用統計が予想を上回ったことで利上げ期待が強まり、株価の下げとドル高が顕著となっている。今週のCPIが前回結果の不安からの連想があるため、物価率上昇への懸念を織り込む形でドル高と株安が週明けも継続している。あまり行き過ぎたドル高や株安となれば、結果が予想通りだと戻りの相場になる可能性があるため、どれくらいの織り込みとなっているのかを鑑みることが必要だ。個人的には、発表前にダウ平均29000ドル割れやドル円146円後半があれば、逆張りの方が有利であろうと予想している。また景気後退を目前とされる欧州では、ZEW景況感指数の発表やフランスのCPI発表があり、英国はBOEによる政策金利が発表予定である。国債の購入枠がどの程度増やされるのか注目だ。日本はSQウィークとなり、株価には波乱の週となる。いずれにしても、相場へ目が離せない重要な一週間を迎えることになりそうだ。