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原油:OPECプラスは大幅減産を決定

2022-10-07

■ OPECプラスは大幅減産を決定

■ 目先の原油需給への影響は限定的だが、今後の減産ペースに注目


  石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国から成るOPECプラスは5日に閣僚級会合を行い、11月から生産枠を日量200万バレル縮小し、同 4185万バレルとすることで合意した。9月の会合では、10月の生産枠を日量10万バレル縮小することを決定し、増産から減産への転換を印象付けたが、原油輸入国への配慮より小幅減産にとどまった。今回の決定は、原油需要の減少に伴う原油価格の下落リスクへの備えとして減産ペースを加速させた格好となった。OPECプラスは声明で、世界経済と原油市場の先行きに対する不確実性と原油市場に対する長期的なガイダンスを強化する必要性に鑑みて決定した、としている。原油価格の維持を優先する方針とみられ、原油輸入国にとってはインフレ圧力の根強さが一段と増す可能性がある。

   今回のOPECプラスの決定は、目先の原油需給にはほとんど影響を及ぼさないと思われる。国際エネルギー機関(IEA)の9月月報によれば、8月のOPECプラス(イラン、リビア、ベネズエラを除く)の生産量は日量4038万バレルと、生産目標(同4385万バレル)に対して347万バレル届いておらず、そもそも生産枠に対して生産実績が追い付いていない状況にある。今回の減産決定が目先の生産量に及ぼす影響は限定的と思われ、需要減少と原油価格下振れへの警戒感を市場に示すアナウンスメント効果にとどまろう。ただ今後、減産ペースが加速するようであれば、生産枠と生産実績が釣り合うようになってくる。さらなる減産は原油需給に影響を及ぼす可能性があり、OPECプラスの動向を注視する必要があろう。次回のOPECプラス閣僚級会合は12月4日の予定である。
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