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米国・欧州経済

2022-09-23

■ 米国経済 ≫ 経済需給ひっ迫に起因するインフレ

■ 欧州経済 ≫ 賃金上昇圧力が強まる


8月の消費者物価指数(CPI)では、総合CPI(前年比8.3%上昇)の上昇ペースは鈍化した一方、食品・エネルギーを除くコアCPI(同6.3%上昇)は5カ月ぶりに上昇ペースが加速した。前月比ベースでガソリン価格が大幅に下落したものの、食品、家賃、医療サービスをはじめ幅広い分野で大幅上昇が続き、下落圧力は相殺された。経済需給ひっ迫に起因するインフレに歯止めがかからず、金融引き締めの必要性を示唆する結果となった。

8月の小売売上高(前月比0.3%増)は2カ月ぶりに増加した。ただし、前月分が下方修正されたため、2カ月前の水準を下回った。価格下落を受けてガソリンが大幅減となり、自動車、外食、建材、ガソリン除くコア売上高(同変わらず)は前月とほぼ同水準となった。増勢は鈍化しているものの、2カ月前の水準を上回っている。

8月の鉱工業生産(前月比0.2%減)は3カ月ぶりに減少した。最終財(同0.1%増)、事業設備(同0.7%増)は増加したものの、素材(同0.4%減)が減少した。設備稼働率(80.0%)は高水準で推移しており、生産活動の堅調さが保たれていることがうかがえる。
4-6月期のユーロ圏賃金(前年比4.1%増)は2四半期連続で上昇ペースが加速し、2020年4-6月期以来の高い伸びを記録した。また、労働コスト指数(同4.0%上昇)は過去10年で最大の上昇だった1-3月期からは増勢がやや鈍化したものの、引き続き高い上昇率が示された。業種別では、サービス業(同4.9%上昇)で特に賃金上昇圧力が強まっている。
9月のドイツZEW景気期待指数(マイナス61.9、前月比6.6ポイント低下)は3カ月連続で低下し、リーマンショック発生直後の2008年10月以来の低水準となった。今冬の燃料・電力不足への懸念は強く、調査対象である機関投資家や金融専門家は、今後一段と景気減速感が強まることを見通している。
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