日銀政策会合プレビュー:為替市場の注目度が高い
2022-09-21
■ 日銀は現行の金融政策を堅持し、世界で唯一のマイナス金利政策を採用する中銀となる見込み
■ 円買い介入を巡る情勢などで注目度は高く、22日の東京時間の円相場は不安定となりそうだ
本稿では、9月21日から22日に開催される日銀の金融政策決定会合(以下、政策会合)について整理する。市場予想では、金融緩和の継続が改めて示されるとみられる。なお、今月末に期限を迎える新型コロナ対応の金融支援特別オペは、予定通り終了が決定される見込み。
今回の政策会合では、為替市場の注目度が高い。今週は米連邦準備理事会(FRB)をはじめ、英中銀(BOE)、スイス中銀、ブラジル中銀(BOB)など、多くの中央銀行で追加利上げが予想される。特に、スイス中銀がマイナス金利政策から脱却すれば、同政策を続ける日銀の金融緩和姿勢が一段と際立つことになる。
為替市場での注目度の高さは、先週14日、日銀が市場参加者に向けて「レートチェック」を行ったと伝わったことも要因であろう。「レートチェック」は日本政府・日銀が為替介入に進む前段階として、市場では解釈する向きもある。そのため、円買い介入への警戒感が高まり、「レートチェック」の報道以降、本稿執筆時点までドル円相場は143円台後半で上値が抑えられている。円安進行の思惑と円買い介入への警戒感が交錯するなか、黒田日銀総裁の会見時間にかけて、22日の東京時間は円相場の動向が不安定となりそうだ。
従来から日本の為替政策の決定権は財務省にあり、かつ、黒田日銀総裁自身がかつて財務官を経験されていることから、今回の政策会合でも「為替政策の管轄は財務省」との見解を踏襲するとみている。また、直近の金融政策を巡る黒田日銀総裁の発言では、7月政策会合後の記者会見以降、「大幅な金利引き上げが経済に大きなダメージとなる」との見解を継続している。ただ、今回の政策会合では鈴木・片岡前審議委員に代わり、7月に就任した高田・田村審議委員が初めて参加する。新審議委員の両氏は、就任会見で「出口戦略は常に考慮すべき」と言及していた。また、任期中に追加緩和を主張し続けた片岡氏が退任することで、市場の一部では、徐々に日銀内における政策修正の議論が表面化するとの見方もある。今回の政策会合以降、日銀の金融政策姿勢を巡る市場の解釈が分かれる可能性もあり、細かくフォローしておく必要があろう。