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英中銀:利上げペースを加速へ

2022-09-16

■ 英失業率は低下しているが、物価高騰を受けて実質賃金はマイナスが続く

■ BOEは利上げ幅を拡大するとの織り込みだが、政府支援による財政負担は金利上昇のリスクも


故エリザベス女王の在位70年を祝う一連の記念行事からわずか3カ月。高齢に伴う不調は伝えられていたが、今月6日には与党・保守党のトラス新党首を新首相に任命した映像が公開されたばかり。突然の悲報に接し驚きを禁じ得ないが、8日の逝去を受けて、英中銀(BOE)は15日の金融政策委員会(MPC)を22日まで延期すると発表。経済指標は予定通り公表。
5-7月失業率は3.6%と1974年以来の低水準を付けたが、就業者数は前月比4.0万人増と2カ月連続で伸びが鈍化。失業率の低下は労働人口の減少によるものと判断される。また、平均時給(除ボーナス、3カ月平均)は前年比5.2%増へ伸びが加速したが、実質賃金は同3.9%減とマイナスが続く。一方、8月消費者物価指数(CPI)上昇率は燃料価格の下落を受けて前年比9.9%と、40年ぶりの高水準だった前月(同10.1%)から伸びが鈍化した。BOEが8月に公表した金融政策報告(MPR)によれば、CPIは10月に13.3%でピークを打つとの予測だ。CPIが中銀目標(2%)を上振れるなか、市場ではBOEは22日のMPCで利上げ幅を75bpsに拡大し、政策金利を1.75%から2.50%へ引き上げるとの見方が高まりつつある。
8日、トラス新首相は光熱費を2年間抑制する計画を発表。エネルギー価格急上昇に伴う生活費高騰を受けて、10月1日から一般家庭の電気・ガス料金の上限を年間2500ポンドに抑える。BOEのチーフエコノミスト、ピル理事は今回の措置が短期的にはインフレ率を鈍化させると予想するものの、金融政策への意味合いには不透明感が残るとの認識を示した。財務相は月内に公表する財政報告で、今回の支援策に関わるコストを明らかにする見通し。財政負担は1500億ポンドに達するとも伝えられており、財政赤字拡大は金利上昇のリスクもはらむ。
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