News

9月FOMCまで、気の抜けない時間帯が続く

2022-09-15

FRB高官は積極的な利上げ姿勢を支持しているが、9FOMCの利上げ幅は明言なし

足元では、「ターミナルレート」を巡る話題が米国金融市場を大きく動かす材料となろう


92021日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)へ向け、10日より米連邦準備理事会(FRB)高官が金融政策に関わる発言を自粛する「ブラックアウト期間」に入った。825-27日に開催されたジャクソンホール会合以降だけでも、パウエルFRB議長をはじめ計13名の執行部・地区連銀総裁が講演を行ったが、概ね積極的な利上げ姿勢継続を支持。主なポイントとして、(1)デュアルマンデート(物価と雇用の安定)、(29FOMCの利上げ幅、(3)ターミナルレート(利上げの最終到達点)、を巡る動向を確認する。

1)で、FRBは「労働市場は目標を達成している一方、物価上昇率が高すぎる」との見解で概ね一致。また、今の金融引き締め姿勢を続ければいずれ米景気が大きく減速するとのFRBの見通しだが、5%の失業率が利上げ姿勢を巡る分岐点となる可能性が指摘されている。8月の失業率(3.7%)を踏まえると、FRBの物価への対応を優先させる姿勢に違和感はない。そうしたなか、913日に公表された8月の米消費者物価指数(CPI)では、特に食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.6%上昇へ伸びが加速。米物価基調の強さへの警戒感が一段と高まり、FRBによる大幅な利上げ観測へつながった点は押さえておきたい。

2)は、8月米CPIの結果を受けて75bpsの利上げ実施が完全に織り込まれ、市場の一部では100bpsの利上げ観測すら浮上している。最終的な判断は916日公表の9月ミシガン大消費者調査を待つ必要があるが、その結果次第では、6月と同じく米大手メディアの報道を通じて市場の利上げ織り込み幅が追認される可能性がある。市場では「ブラックアウト期間」が従来よりも意識されなくなっており、9FOMCまで気の抜けない時間帯が続く。

3)は、足元で米国金融市場全般の動向を左右する材料だ。事実、8月の米CPIの結果を受けて、913日の短期金融市場では来年にかけて4.3%台の利上げまで織り込まれ、米国市場では株安・金利上昇・米ドル高が大幅に進行した。ここまでのFRB高官の発言ではターミナルレートの見通しが3%台後半から4%台前半まで分布していたが、本稿執筆時点の短期金融市場では、最も積極的な見解にサヤ寄せした形となっている。9FOMCで更新される「経済見通し概要(SEP)」次第で、市場は一段と大きく変動する恐れもある。

TOP