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ドル円:145円を前にドル高・円安は一巡するか

2022-09-09

■ 日銀と主要中銀との金融政策の乖離が際立ち、ドル円は24年ぶりのドル高、円安水準

■ ドル円は1998年8月高値が視野に入るが、来週の米中経済指標をきっかけに上昇一服か

昨日の米国市場序盤、ドル円は一時145円に迫る勢いで、24年ぶりのドル高・円安を付けた。ドルが騰勢を強めるなか、円売りがかさむ展開となった。きっかけは、先月25-27日の米ジャクソンホール会議での黒田日銀総裁の発言。「持続的な金融緩和を行う以外に選択肢はない」として、金融緩和姿勢を堅持した。7月の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)上昇率は前年比2.4%と4カ月連続で目標を上回ったものの、景気動向指数(速報値)は先行指数が3カ月連続で低下。賃金上昇を伴わない物価上昇を受けて消費者態度指数の低下も続いた。景気減速感は強まりつつあり、日銀が金融緩和の出口を模索するとは考えづらい。為替政策は財務省の専管事項だが、物価高を助長する円安に対し、当局の政策の手詰まり感が否めない。米欧など主要中銀がインフレ抑制を優先し、利上げを急ぐ動きとは対照的である。

ドル円が145円を明確に上抜ければ、1998年8月高値147円63銭が視野に入るのは市場参加者に広く知られているところだが、1日で2、3円上昇する足元のボラティティを踏まえれば、節目の150円の水準を意識するのは市場心理としてやむを得ない。こうしたなか、テクニカル分析上、相場の買われ過ぎや売られ過ぎを判断する相対力指数(RSI、14日平均)などオシレーター系のいくつかでは、ドルが買われ過ぎ(円が売られ過ぎ)のシグナルが点灯しつつある。米国では13日に8月消費者物価指数、15日に同小売売上高、16日には9月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)の公表を控える。中国でも8月の鉱工業生産など注目指標の公表が相次ぐため、ドル高もしくは円安に一服感が広がるきっかけともなり得る。
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