カナダ中銀プレビュー:75bpsの利上げ実施を予想
2022-09-06
■ 市場予想では、BOCは9月の政策会合で、政策金利を2.50%から3.25%へ引き上げる見込み
■ カナダの景気減速とインフレ鈍化の兆しがみられ、利上げは年内いっぱいにとどまると予想
本稿では、9月7日に結果が発表されるカナダ中央銀行(以下、BOC)の金融政策決定会合(以下、政策会合)へ向けた動向を整理する。市場では、BOCは今回の政策会合で、政策金利を2.50%から3.25%へ引き上げると予想されている。前回7月の政策会合では1998年8月以来の100bps利上げを実施したが、今回は利上げ幅を75bpsへ縮小するとの見方だ。
当行は8月末時点で、カナダの政策金利が今年の年末までに3.75%まで引き上げられた後、来年は横ばいで推移と予想する。9月に75bps利上げを実施後、10月と12月は利上げ幅が25bpsずつに縮小との見立てだ。背景は、7月分の経済指標から、カナダの景気減速と物価上昇率のピークアウトの兆しがみえてきたことが大きい。月次実質GDP(速報値)は前月比0.1%減、小売売上高(速報値)は前月比2.0%減と、ともに減少へ転じている。また、消費者物価指数(CPI)は前年比7.6%上昇と、6月分(同8.1%上昇)から伸びが鈍化した。
ただし、BOCは引き続き、インフレ抑制のため利上げを進める姿勢は崩していない。前回7月の政策会合後に、マックレムBOC総裁は「2-3%の中立金利のレンジ上限、もしくはこれをやや上回る水準まで政策金利を迅速に引き上げる必要がある」と指摘した。また、インフレ鈍化の兆しを巡っても、「物価上昇率が目標の2%に回帰するまで、我々の業務は終わらない」とし、利上げ継続の姿勢を維持している。
本稿執筆時点で、短期金融市場では来年4月にかけて3.75%まで政策金利を引き上げると織り込まれる一方で、市場の一部では2024年の初頭からは利下げに転じるとの見方も浮上している。9月政策会合では、BOCの急激な利上げ実施に伴う景気と物価への影響を、BOC自身がどう評価するかという点も、確認しておきたい。市場の注目は、年末にかけて徐々に、利下げ開始時期の行方に移っていくのではないか。