ECB:9月理事会も大幅利上げの公算
2022-08-24
■ 欧州向けの天然ガス価格は急騰、ユーロ圏の物価上昇圧力を強めている
■ 景気後退のリスクはあれど、ECBは9月8日の理事会でも50bpsの利上げへ
昨日、欧州向けの天然ガス価格の指標となるオランダTTFガス先物価格は、1メガワット時=276.75ユーロへ急騰。ロシアによる主要パイプラインの稼働停止など供給制約が続くなか、欧州での記録的な熱波で河川水位が低下し、物流停滞を招くとの懸念も物価を押し上げている。7月のユーロ圏消費者物価指数(改定値、HICP)上昇率は前年比8.9%と前月(同8.6%)から加速し、過去最高を更新。ガス先物価格とHICPの前年比変化率の相関係数は、遡及可能な2005年6月以降で0.80、新型コロナウイルス感染拡大の2020年1月以降では0.94と高水準にある(7月終値:1メガワット時=190.92ユーロ)。HICPはコア指数も同5.1%上昇し、欧州中銀(ECB)の目標(2%)を上振れる状況は続く。
ラガルドECB総裁は、25-27日に米ジャクソンホールで開催される年次シンポジウムを欠席するが、シュナーベルECB理事とECBメンバーでフランス中銀のビルロワドガロー総裁が27日のパネルディスカッションに参加する予定。ECBが7月下旬に発表した報告書によれば(6月下旬調査)、域内の主要企業はインフレ圧力の高まりと賃金上昇の加速に直面している模様。先週、同理事は「ユーロ圏経済が景気後退に入っても、ECBがインフレ率を目標(2%)に戻す取り組みに躊躇することはない」と言明。25日には理事会議事要旨(7月21日分)、31日には8月のHICP(速報値)が公表される。足元の天然ガス価格高騰を踏まえれば、9月8日の理事会でも、50bpsの利上げに踏み切る公算は大きい。