RBNZレビュー:一段の利上げ加速を示唆
2022-08-22
■ インフレ抑制を最優先とし、4%を超える水準まで利上げを進める姿勢を明確にした
本稿では、8月17日に開催されたニュージーランド(NZ)中銀(RBNZ)の金融政策決定会合の結果を整理する。市場予想通りに7会合連続の利上げが決定され、政策金利(OCR、オフィシャル・キャッシュレート)は2.50%から3.00%へ引き上げられた。50bpsの利上げは4会合連続となり、その結果、OCRは2015年7月以来の高水準となっている。
さらに、RBNZは政策会合終了後に公表した声明で、今後一段と積極的に利上げを進める方針を示唆した。OCR見通しを、2022年末時点は3.4%から3.7%へ、2023年末時点は3.9%から4.1%へ、それぞれ前回7月時点から上方修正した。加えて、「インフレ率を前年比1-3%の目標レンジに抑えるため」、2023年4-6月期から2024年4-6月期にかけて、ターミナルレート(利上げの最終到達点)の4.1%を維持する方針も示した。以上から、10月以降の政策指針として、市場では想定されていたよりも利上げに積極的と解釈され、金利先物市場では来年4月にかけてOCRが4.00%まで引き上げられるとの織り込みが進んでいる。
一方で、8月16日発行のPRESTIA Insight*1で確認した通り、物価高騰と金利上昇によって今年4-6月期以降の個人消費が低調になるとの懸念は根強い。まずは、9月15日に公表される4-6月期のNZ実質GDPが、前期比でプラス成長に復帰できるかに注目が集まる。RBNZは声明で、住宅価格が来年央までに約20%下落するとの見通しを示唆したが、高水準の雇用、都市封鎖の間に蓄積された貯蓄、政府の支援金支払いにより、家計部門は強化されていると自信を示す。ただし、金融政策ステートメントでは来年4-6月期に前期比横ばいまで成長率が低下する見通しを示しており、厳しい金融政策の舵取りが迫られることに変わりはない。
そうしたなか、NZの代表的な株価指数であるNZX50指数は、他国と比べて目立った強さはみせていない。同指数は6月中旬以降に反転し、5月上旬以来の水準まで持ち直している。だが、8月18日時点の年初来騰落率ではマイナス9.3%と、S&P500(マイナス10.1%)やSTOXX欧州600(マイナス9.6%)と概ね同様の値動きにとどまっている。
*1:PRESTIA Insight 2022.08.16 「RBNZプレビュー:4会合連続で50bpsの利上げへ」