News

RBA:9月以降の利上げペースに注目

2022-08-19

■ 7月以降は最低賃金の引き上げで、物価上昇圧力はさらに高まる見込み

■ 雇用情勢に変調の兆しが表れ、RBAは利上げペースを緩和するとの見方が浮上


   17日、豪統計局が公表した4-6月期の賃金指数は前年比2.6%上昇と、2013年7-9月期以来約9年ぶりの大幅上昇となった。消費者物価指数(CPI)は同6.1%上昇と21年ぶりの高い伸び、コアCPIにあたるトリム平均値は同4.9%上昇と中銀目標(2-3%)を上振れた。だが、賃金の伸びは物価高騰に追い付かず、実質所得に下押し圧力が掛かる。一方、独立裁定機関の豪公正労働委員会(FWC)は、今年度(2022年7月-2023年6月)の最低賃金を2.5%から5.2%(時給:20.33豪ドル→21.38豪ドル)引き上げた。エネルギー価格高騰に伴う生活費の急上昇や労働市場の堅調さを踏まえ、引き上げ幅は2006年以来最大になるという。最低賃金の設定は法的強制力を持つため、7月以降に賃金上昇が進めば実質所得の増加が見込まれるものの、物価上昇圧力は一段と強まる可能性がある。

   豪中銀(RBA)は5日公表の四半期金融政策報告で、物価見通しを2024年4-6月期にわたり上方修正。2022年10-12月期のCPI上昇率は7.75%と5月時点(6.0%)から引き上げられた。CPIは同10-12月期にピークに達し、2023年以降は伸びが鈍化するとの予測だが、中銀目標の上限に戻るのは新たに公表された2024年10-12月期となる見通し。16日公表の理事会議事要旨(2日開催分)では、インフレ期待の抑制に向けて追加利上げは必要との見解が示されたが、経済安定が目的であらかじめ設定された政策の道筋はないと指摘。本日公表の7月雇用統計では失業率が3.4%と前月から0.1ポイント改善し48年ぶりの低水準を維持したが、就業者数は正規雇用者の減少が響き前月比4.1万人減と予想外の減少となった。9月6日の理事会では、政策金利の引き上げ幅が50bpsから25bpsに縮小すると、市場は織り込み始めたが、政策金利は年末には3.0%を超える水準に向かうとの見方は変わっていない。
TOP