ユーロ圏経済の見通し
2022-08-12
■ 欧州株:企業利益の伸び鈍化が先行き株価の重しに
■ 国債:徐々に落ち着きを取り戻しつつある
ストックス欧州600指数は反落。ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて米中関係が緊迫化するとの見方が強まり、週前半は下落。その後は好決算などを手掛かりに個別銘柄を物色する動きが強まり持ち直したものの、英中銀(BOE)が景気後退を見込みながらも利上げを決定したことで、欧州中銀(ECB)も利上げを継続するとの思惑が広がり、株価の上値を押さえた。
金融情報会社リフィニティブによれば、同指数構成企業で4-6月期決算発表を予定する324社のうち57%が発表を終え、このうち65%の企業のEPS*¹が市場予想を上回った。足元では企業業績が株価を下支えしているが、欧州の景気悪化懸念が急速に強まるなか、企業利益の伸び鈍化が株価の重しとなろう。
ドイツ(独)10年国債は反落(利回りは上昇)。欧州発のイベントが乏しく、世界的な景気後退懸念を巡る報道に振らされた。週前半は懸念が一段と高まったが、週末にかけては米中のサービス業景況感関連指標や米雇用統計が良好な結果となり、米利上げペース鈍化の観測が和らぎ、利回り上昇圧力が波及した。
欧州中銀(ECB)が公表した6-7月の債券保有データによると、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の満期償還金を周縁国国債へ再投資していることが確認された。イタリアの政局不安が後退したこともあり、独伊長期金利差は縮小している。今週は市場参加者の減少も相まって様子見ムードが広がりやすく、欧州債券市場は徐々に落ち着きながら方向感を探る展開を予想。