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RBA理事会レビュー:欧米中銀と歩調を合わせて

2022-08-04

■ RBAは市場予想通りに50bpsの利上げを決定したが、先行きは「データ次第」の方針を追加

■ 短期金融市場では利上げペース加速の思惑が後退したうえ、来年下期の利下げ観測まで浮上


豪中銀(RBA)は8月2日の理事会で、政策金利を50bps引き上げて1.85%とした。3会合連続の50bps利上げ実施は市場予想通りであり、RBAは金融政策の正常化を一段と進めた。

声明文を確認すると、RBAは今後数カ月も政策正常化をさらに進めると示唆した一方、「あらかじめ決まった道筋があるわけではない(it is not on a pre-set path)」との文言が追加された。ここが今回のポイントとみており、RBAの利上げペースが後退するとの思惑につながったと考える。また、7月には米連邦準備理事会(FRB)と欧州中銀(ECB)も、「今後の利上げペースはデータ次第」の方針を表明しており、RBAもこの流れに追随したと解釈している。

また、今回の声明文では、大まかな経済成長率見通しと物価上昇率見通しも示された。前回5月時点と比較すると、今年と来年の経済成長率見通しを下方修正のうえ、物価上昇率見通しを上方修正している。すなわち、前者は今年(4.25%→3.25%)と来年(2.00%→1.75%)の修正を含めて、引き続きインフレ率と金利の上昇が家計を圧迫するとの見方を示した。一方で、後者は今年(6.00%→7.75%前後)を大きく上方修正したものの、年内にピークを迎えるとの見方に変わりはない。「見通しは、経済成長を下方修正、物価を上方修正」の傾向についても、RBAは他の主要国中央銀行と同じ流れに追随したと言えよう。

以上の声明文の内容が材料視され、短期金融市場では来年4月までの利上げ織り込みが3.35%まで一段と低下したうえ、その後の利下げ観測までが織り込まれた。今回の理事会の結果を踏まえると、RBAは今後、他の主要国中央銀行と歩調を合わせるとの見方が市場に広がりそうだ。特に、欧米中銀に続いて今後の利上げは「データ次第」としたことは、金融市場のボラティリティを高める見込み。豪州では、17日公表の4-6月期豪賃金コスト指数などで高インフレの継続が確認された場合、再びRBAの利上げペース加速の思惑が市場で強まる可能性は残る。まずは、5日公表の豪四半期金融政策報告に注目したい。
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