FOMCレビュー:今後の政策指針はデータ次第
2022-07-29
■ パウエル議長は、次会合でも大幅な利上げの可能性を示唆したが、政策指針は具体化せず
■ 8月初旬にかけて公表される米経済指標と8月下旬開催のシンポジウムに注目
米連邦準備理事会(FRB)は26、27日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を2.25-2.50%へ引き上げた。利上げ幅は2会合連続の75bpsで全会一致。声明では、「消費と生産に関わる最近の指標は鈍化している」と指摘したが、「雇用の伸びはここ数カ月で堅調、失業率は低いままで、インフレ率は依然として高水準」との認識は変わらず。そのうえで、「雇用最大化と長期的な2.0%のインフレ率達成に向けて、継続的な引き上げが適切になると予想」し、インフレ抑制に強くコミットする従前の姿勢を維持した。
パウエルFRB議長は会見で、「次回会合でも異例に大幅な利上げが適切となり得る」との考えを示したが、景気減速の兆しが表れるなか、「次の会合までに得られるデータ次第で、政策は会合毎に意思決定し明確に伝えていく」と述べるにとどめた。米経済については、現時点では景気後退に陥っていないと明言したが、政策金利はFOMCメンバーが中立とみなす水準に達したため、「いずれかの時点で利上げのペースを緩めることが適切」とも述べた。
当面は米経済指標が注目される。今晩公表の4-6月期実質GDP(速報値)は前期比年率0.5%増と前期(同1.6%減)から持ち直す見込みだが、アトランタ連銀によれば同1.2%減との試算もある。29日公表の6月個人消費支出デフレーターや4-6月期雇用コスト指数も、FRBの政策判断の手掛かりとなる。また、8月1、3日公表の7月ISM景況感指数(製造業・非製造業)、5日公表の同月雇用統計、9月会合までに公表されるインフレ指標などを通じて、市場は今後の利上げペースを探ることに。さらに、FRBの要人発言に加え、8月25-27日の米カンザスシティ連銀主催のジャクソンホールでの国際経済シンポジウムは従来以上に注視されよう。